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第16話

ずっと貴方の傍に居ると誓ったのに。 僕は……。 僕はどうしたら……。 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎ 「柊。おい、ひーいーらーぎー」 「ん……まだ、眠い…」 「ダメだ、起きろ。夜眠れなくなるぞ」 「んんーっ。……あれ…たむらぁ?」 薄暗いせいで、ここが何処か思い出すのに少し時間が掛かった。 「そんなとこで寝てたら風邪引くぞ。なんでベッドで寝ないんだよ」 「ん……。寝るつもりなかったんだけど」 「いいから、顔洗って目ぇ覚ましてこいよ」 「分かった」 田村からタオルを受け取りユニットバスに向かった。 鏡の前の僕の頬には涙が伝った跡が残っていて、慌てて顔を洗った。 目元を冷やすように何度も冷水を当てる。 田村に見られた? だから、顔を洗ってくるように言った? 今日も泊めてもらうのに、何と説明したらいいんだろう。 聞かれたら、怖い夢でも見た事にするしかない。 「うぉーい、柊」 「今行く」 部屋に戻ると、テーブルの上には美味しそうな食べ物が並んでいた。 「部屋綺麗になっててビックリしたよ。サンキューな」 「ううん。それにしても豪華だね。お金半分払うよ」 「いいよ、これくらい。つっても、バイト先のメニューだし、かなりまけてもらったんだ」 田村はそう言うとふふんっと笑った。 でも、その笑顔は不自然で少し固く見えた。 「でも、ちょっと冷めたからあっため直さないと」 「田村…」 「あ、柊、飲み物何にする?お茶とジュース買ってきたけど」 「田村っ」 僕の言葉を遮ろうとしたから、僕は大きな声を出すと田村は黙った。 「その前に……」 「………」 目線が微妙に合わない田村から視線を外す。 小さく息を吐くと、田村も視線を移した。 「あれ……畳んでからにしよう」 「……はい」 僕の視線の先には、隅に積み上がった今日洗濯して干した洗濯物があった。

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