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第17話

2人で洗濯物を畳んでから、温め直したご飯を食べた。 田村のバイト先の洋食屋でテイクアウトしたナポリタン、ハンバーグ、オムレツ、サラダと、王道のメニューだ。 「初めて部屋に友達が遊びに来たうえ泊まってるって店長に言ったらさ、アレもこれも持ってけってめっちゃサービスしてくれたんだよ。で、サラダはいらねぇって言ったのに、店長の奥さんが『若いからって好きなものだけ食べるのは許されないのよ。野菜は食えー』って待たされた」 「ぷははっ。それは店長の奥様の言うことが正解だね。いつもカップラーメンばかりでしょ。ほらサラダ沢山食べなよ」 「うわっ、もう十分」 紙皿にサラダをよそって、ハンバーグに齧り付いている田村の前に置くと嫌な顔をされた。 この紙皿は、田村の部屋の食器は少ないからと帰る途中で買ってきてくれたやつだ。 そして、お茶を飲むコップは朝、コーヒー飲むのに使ったマグカップだ。 一人暮らしで今まで来客がなかったから、食器を揃えていなかった田村は言った。 僕の家は創士様と二人暮らしだけど、メニューによって使う食器を変えているため沢山あるが、その前に養父と住んでいたアパートでは確かに少なかった。 各家毎に違うのかもしれない。 「あ、明日バイト休みだから、どっか出かけようぜ」 ナポリタンを食べていると、田村が突然言った。 「えっ……あの」 「とりあえず食器。折角旨い飯をお客様と食べてんのに食器が紙皿なのはなんか残念だから、さ」 「……うん。分かった」 「よーし。昼前には出て、外で飯も食おうぜ」 嬉しそうに笑う田村に釣られて、僕も笑った。 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎ お腹いっぱいご飯を食べて、交代でお風呂に入った。 シャワーを浴びて、借りた別のスウェットを着て戻ると、先にお風呂を済ませた田村がテレビを見て寛いでいた。 「お風呂、ありがとう。お風呂場、洗っておいたから」 「おー、サンキュー。助かる。あ、柊もお茶飲むだろ?コップ持ってこいよ」 水切りカゴからマグカップを持って戻ると、ペットボトルのお茶を注いでくれた。 「ありがとう」 「ん。あと、コレ…」 田村は紙袋を僕に渡した。 「何?……え…」 紙袋の口を開くと、消毒液と傷薬、あと大きめの絆創膏が入っていた。 顔を上げ田村を見ると、田村はテレビから目を離さず自分の左の頸付近を指でちょんと叩いた。 「ここ。噛み跡がある」 「っっ……」 驚いて田村が指す部分に手を当てると、少しの痛みに凹凸と瘡蓋の感触があった。 合わせ鏡にしないと自分では見えない場所に付けられていた傷に僕は気づかなかった。 逢坂様は何度か僕の意識が飛んだ時に、噛んだんだ。 こんなのあの人にとってはただの可愛い悪戯だけど、僕にとってはタチの悪い悪戯だ。 「大丈夫だ。今見える場所はそこだけだから」 「……」 「ほら、薬塗れよ。その方が傷の治りが早いから。お前が見えないとこは俺が塗ってやるよ」 「……うん」 田村は傷の手当てを手伝ってくれた。 でも、噛み跡については聞いてこなかった。

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