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第18話
日曜日の朝。
僕は6時に起床して、田村は8時を過ぎるまで起きてこなかった。
昨夜は田村のベッドを借りて、その田村は寝袋を使った。
今夜も寝袋でいいと言ったのだが、「今日はお前がベッドを使え」と田村は譲らなかった。
僕が起きた時、隣で寝ていた筈の田村は部屋の隅にいた。
寝袋の中で同じ方向に寝返りをうって、転がって行ったようだ。
僕は田村が起きてくるまで、顔を洗って洗濯して乾いた自分の服に着替えて、昨夜出た洗濯物と一緒に洗濯機に入れ回した。
その後、噛み跡や引っ掻き傷に昨日貰った傷薬を塗った。
早くこの傷が消えることを願って。
8時半に、やっと起きた田村と朝食を頂いた。
トーストとインスタントコーヒーの他に、昨夜の残り物のオムレツとサラダがあってちょっと豪華だ。
田村は嫌な顔をしたけど、今朝もサラダを盛った。
その後、僕が食器を洗っている間に、田村が洗濯を終えた服を干した。
「柊、パンツどーする?置いてくか?」
「帰る頃には乾くはずだから持って帰るよ」
「いーじゃん。置いていけよ。んで、また泊まりにこいよ。今度は布団用意しとくからさ」
「うーん、考えとく」
洗ったのはコンビニで買ったやつだから、正直どちらでも良かった。
でも、逢坂様の件を考えると、田村の部屋に泊まらせてもらう機会はまたあるかもしれない。
そんなことをつい考えてしまい、深くため息を吐いてしまった。
昼前には出掛ける予定だったが、田村のレポートが終わってないことが発覚し、それを終わらせてから出ると13時を過ぎた。
「ごめんっ!家早く出ようって言ったの俺なのに……」
「いいよ、レポートの方が大事だから。買い物だってそんなに時間かからないだろう?」
「ああ。本当に助かった。ありかとな、柊」
「どういたしまして」
話をしながら20分ほど歩くと、駅前の商店街に着いた。
「柊、飯、何か食いたいのある?」
「うーん、特にないかな」
「俺、ラーメン!」
「ラーメン…て…」
家に沢山カップラーメンあるのにラーメンって……。
そう思ったけど、元々田村はラーメン好きなだけのようだった。
「いいよ。ラーメンにしよう」
「やった!オススメの店あるんだ。この時間帯だと、ライスが無料で付いてくんだよ」
「いや、僕はライスいらないから」
田村が案内してくれたラーメン屋は老夫婦が営む昔ながらのお店で、煮干し出汁の醤油ラーメンはアッサリしていてとても美味しかった。
その後、商店街の中にあるワンコインのお店に入って、いくつか食器を見繕って買った。
田村はつい最近、ガラス製のコップを1つ割ったらしく、同じものを探していた。
「今あるのと違うコップだと、なんか気持ち悪いだろ?」
田村の意見に、僕も同じグラスの方が統一感があって良いと思った。
食器を買った後は、商店街をぶらついて田村のアパートに帰った。
そして、夕方。
僕はアパートを出て家路に向かった。
パンツは田村のアパートに置いていくことにした。
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