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第19話
電車に乗る前、創士様に連絡をした。
「これから電車に乗って帰ります」
「分かった。気を付けて帰っておいで」
「……はい」
電話の向こうから聞こえる優しい声に胸が苦しくなる。
昨日、創士様についた嘘を抱えて帰る。
こんな状態で会うのは怖いけど、それ以上に会いたい気持ちが強い。
創士様に会うまでに気持ちを整理して、いつもの僕に戻るんだ。
パシンと両手で頬を叩いて気合いを入れ、ホームに滑り込んできた電車に乗り込んだ。
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改札口で僕は固まった。
「おかえり、柊」
「そ、うし様…」
改札の外に、創士様が待っていた。
ただそれだけで動揺した。
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