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第24話
逢坂様と約束をした。
身体に痕をつけないこと。
創士様に秘密にすること。
そして、この取引きは逢坂様の会社と創士様の会社との契約が終了と共に終わること。
僕がずっと創士様の傍にいるための約束。
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家に着くと、中は暗かった。
怠い腰を引き摺り部屋に向かう。
部屋に荷物を置くとパジャマを持ってバスルームに向かった。
事後にホテルでも身体を洗った。
香りの良い石鹸で、洗った後も身体にその香りが残った。
そのいつもと違う匂いは、逢坂様とのことを思い出す匂いだ。
こんな匂いを1秒でも早く消したい。
いつもの石鹸泡と一緒に記憶も消えて欲しい。
僕はあの時流せなかった涙を流しながら全身を洗った。
ホテルでも確認したが、身体には先週末に創士様が付けた痕だけで、やはり新たな痕は見当たらずホッとした。
内腿に残る創士様の痕を指でなぞり後孔に触れる。
何度も逢坂様が行き来した入り口は、薬が切れてから1時間経っても僕の指を根元まで簡単に飲み込む。
逢坂様が使った媚薬は前回の比ではないくらい強く、その熱のせいで僕の中は飲み込んだ逢坂様を締め付けて離そうとしなかった。
意思とは逆の反応を示す身体。
身体がビクンと反応する度に向けられる笑顔が僕を絶望に落としていく。
「とても気持ちよさそうだ」
「そんなに僕のコレが気に入った?」
「たくさん中に出すから」
「僕のものになってよ」
「君の身体、好きだよ」
あの時に言われたいろんな言葉が頭に浮かぶ。
全ての言葉に「嫌だ」と言った。
でも、拒絶の言葉とは裏腹に、全てを絞り出すようにうねり締め付ける中と、快感を求めて勝手に動く腰は止まらなかった。
「うっ、うっ……そう、し、様…」
バスルームには僕の嗚咽と後ろを掻き出す音だけが響く。
お湯に薄まり流れていく白濁した液体を目にし、罪悪感に胸が痛んで涙が止まらなかった。
バスルームから出て時計を見る。
逢坂様の話ではあと30分ほどで創士様は帰ってくる。
手早く髪を乾かし、『もう寝ます。おやすみない。』と創士様にメールを送るとすぐベッドに潜った。
それから10分程経った頃、家の前に止まる車のエンジン音がした。
その後、玄関で聞こえた物音は、廊下を歩く音に変わり、僕の部屋の前で止まった。
布団を頭まで被り息を殺す。
しばらくドアの向こうに人の気配がしたけど、入ってくることなく足音と共に離れていった。
程なく『おやすみ』とメールが届いた。
携帯を握りしめた僕は、そのまま目を閉じた。
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