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第26話

あれから、逢坂様からの呼び出しは2週間に一度になった。 無意識に逢坂様を拒絶してしまう僕の身体は、毎回、媚薬を使って無理矢理に発情させられた。 それは何度打たれても慣れることはなくて、数時間、その熱と強い刺激に翻弄された。 僕の意思とは真逆の反応をする身体に、毎回泣きたくなる僕に、逢坂様は「とても淫乱だ」とあの笑みを見せた。 そして、帰りはいつも10万円をバッグに入れられた。 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎ 逢坂様との取引きが始まって2ヶ月。 2週間おきの関係は肌を重ねる度、罪悪感が募った。 そのせいもあり、週末の創士様との時間がとても苦しい。 創士様と肌を合わせる喜びより、薬によって覚えてしまった快感を、創士様に抱かれることで消えて欲しかった。 一瞬でもそう思ってしまう度、苦しくて涙が出た。 創士様との行為は愛を交わすものだったはずなのに。 そして、1ヶ月経った頃に気付いたことが一つあった。 逢坂様に呼び出される日は、必ず創士様の帰りが遅い。 だから、創士様から帰りが遅くなるメールが来ると身構えるようになった。 「柊の大学は今夏休みだよね。彼とは何処かに行くのか?」 裸でベッドに横になる逢坂様は、帰り支度をする僕にそう声を掛けた。 「何故、そんなことを聞くのですか?」 「ほら、偶には僕も泊まりがけで柊を独り占めしたいんだよね」 「貴方とは一時のものです。それ以上はありません」 「ふーん。でも、都合が合ったら僕の家に招待するから泊まりにおいで」 チラッと逢坂様を見ると、目を細め楽しそうに笑みを浮かべていて身体に寒気が走った。 最近、逢坂様はローターなどの道具を持ち込んで使うようになった。 ただ、時間が限られているから、使うのは媚薬が効くまでのほんの少しの時間だ。 泊まりがけとなったら、それらをじっくり使うのだろうか。 僕はそれ以上話を聞きたくなくて、逃げるように部屋を出た。 帰りの電車の中でバッグを開けると、サイドポケットにいつも通りお金が入っていて、小さくため息を吐いた。

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