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第31話

おじいさんたちの家に来て3日間は、色々お手伝いをした。 創士様はおじいさんと力仕事を、僕はおばあさんと畑の草むしりや食事の準備などをした。 クロスケのご飯やりも僕がやった。 それなのに、クロスケは創士様の膝の上にばかり乗った。 「クロスケのご飯、僕があげてるのに……。創士様ずるいです」 「そんなこと、俺に言われてもな……」 創士様の膝の上でゴロゴロ気持ちよさそうに撫でられているクロスケに手を伸ばすと、パシッと猫パンチを喰らった。 「あ……」 「はははっ。柊、クロスケの遊び相手ずっとしてたから、今のも遊びだと思っただけだよ。だから気にするな」 クロスケのパンチを喰らってショックを受ける僕に、創士様は笑いながらそう言い僕の頭を撫でた。 「今、僕、創士様に激しく嫉妬してます」 「クロスケでなく俺か…」 膨れる僕に創士様はまた笑った。 「…柊、後ろ向いて」 「えっ?」 言われるがまま創士様に背を向けると、「ニャア」とクロスケの鳴き声と「クロスケ、ちょっと待ってな」とクロスケに声を掛ける創士様の声が聞こえた。 「あの…わっ」 気になって振り返ろうとしたけど、脇に創士様の手が当たり、あっという間に持ち上げられた。 そのまま、ぽすんと創士様の膝の上に収まった。 「え…?」 「クロスケ、おいで」 「あ……」 創士様に呼ばれたクロスケは、ぴょんと飛び上がって僕の膝の上に乗った。 少しの間、ウロウロと座って立ってを繰り返したクロスケは、僕の腕に頭を乗せて座った。 「ほら、撫でてやって」 「はい」 毛並みに沿って頭から背中にかけて撫でると、クロスケはゴロゴロと喉を鳴らし始めた。 その振動が僕の腕にも伝わって、さっきまで膨れていた頬が緩む。 「どうだ?」 「とっても可愛いです。…あと、すごく嬉しい、です」 僕の手に自分の手を重ねた創士様にチュッと耳にキスをされ、くすぐったさに肩を竦めてしまった。 その直前にカシャっと音がして頭を上げると、目の前にはカメラを構えたおじいさんとおばあさんがいた。 「えっ?…えっ?」 「とても微笑ましい絵だったから、思わず撮ってしまったよ」 「ふふっ、よく撮れてるわ」 動揺する僕を他所におじいさんとおばあさんは楽しそうに今撮った写真を確認する。 それを見た創士様は僕の耳元でクスッと笑った。 その様子から、創士様はおじいさんがカメラを構えていたことに気付いていたようだ。 振り返り少し睨むように見上げた創士様は、満面の笑顔で僕を見つめていた。 「今度はカメラ目線で撮るよ。ほら、クロスケもこっち向いて」 「ニャア」 おじいさんたちに笑顔を向けると、カシャっとシャッター音がした。

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