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第36話
浴室でお互い達した後、僕はその余韻に身体が痺れたように動けなくなった。
創士様は僕が落ち着くまで抱きしめたまま待ってくれた。
その間に僕の中でまた大きく硬くなる存在が嬉しくて、また中が疼いた。
「創士様、もう一回しーー」
「駄目だ」
創士様は僕の言葉を遮った。
その言葉に強張る背中を優しく撫でてくれた。
「ここでは…な。中に入ろう」
「…はい」
膝立ちをして創士様のものを抜くと甘い吐息が漏れた。
まだひくつく後ろの喪失感を早く埋めたくて、脱衣所で創士様に抱きついた。
そんな僕を創士様は柔らかいバスタオルで包んで拭いてくれる。
「どうした?今日はやけに甘えん坊だな」
「……お酒の、せいです。あとーー」
「創士様のせいです」と言う前にキスで塞がれた。
深いだけでなく何度も角度を変えてのキスに、僕のものに当たるそれも更に高度を増す。
「早く行こう。じゃないと、今度はここで抱いてしまいそうだ」
「…はい」
創士様は僕をタオルに包んだまま抱き上げて中に戻った。
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今、この時に時間が止まって欲しい。
そう願ってしまうほど、甘く、激しいひと時だった。
溢れる程注いだのに、創士様は萎えることなく何度も穿って中に注いだ。
それはいつもよりも奥に届いて、その度に息ができなくなった。
「柊に無理しすぎたな。身体は大丈夫か?」
「大丈夫…です。すごく幸せでした」
本当は大丈夫じゃない。
声は掠れて、指一本動かすのも億劫なくらい全身が怠い。
そんな僕の中も外も創士様が綺麗にしてくれた。
更に今は浴槽で溺れないようにと抱きしめられながら入ってる。
「次も加減できるか自信がなくなってきた…」
「いいんです。僕は貴方のものです。貴方にならどんなことをされても僕は幸せなんです」
「…そうか」
今の僕は多幸感で満たされてる。
ここで死んでしまっても悔いがないだろう。
「なあ柊、土産は何がいい?」
「え、アイスでは…」
「そうじゃない、ヨーロッパの土産」
「あ…」
そうだ、5日後ーー日付けが変わったから4日後。
創士様は仕事で2週間、ヨーロッパに行く。
その話を聞いた時、僕はものすごく寂しくなった。
今はその時より更に寂しく感じる。
明後日、創士様が自宅に帰る時はもっと寂しく感じるだろう。
「柊?」
俯く僕に創士様は声を掛ける。
「何もいりません。だから…」
「?」
身体を捩り手を伸ばして抱きつくと、支えるように背中に手が当たった。
「こうして……こうして僕を抱きしめて下さい。お願い、します」
力が入らない身体に鞭打って、必死に腕に力を込めて強く抱きしめる。
五感全てで貴方を感じさせて欲しい。
「柊……帰ったら…」
「はい」
その言葉の続きを待ったけど、創士様が口に出すことはなかった。
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