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第44話

翌日。 夕方帰宅予定の創士様のために食事を用意して待っていたが、なかなか帰ってこなかった。 結局、帰ってきたのは22時過ぎだった。 「飛行機が1時間以上遅れたうえ、預けていた荷物が別便で送られたんだ。待っている間、ラウンジで溜まっていた仕事をして……気づいたら……遅くなってすまない」 玄関で出迎えると、創士様に抱きしめられながら謝罪された。 「お疲れ様です。疲れましたよね。ご飯は食べました?あ、お風呂入りますか?」 見るからに疲れ果てている創士様の背中をさすりながら声をかけるとククッと笑われた。 「創士様?」 「いや、(ウチ)家に帰って来たんだなぁって思って」 背中に回された腕に痛いほど力が入った。 「そ、創士様、痛いです」 「あ、すまない……柊を感じたくて、つい」 創士様の腕から少しだけ力が抜けた。 「…柊」 「…はい」 「先にお前を食べてもいいか?」 耳元で囁かれてピクリと肩が跳ねた。 唇が耳に触れ、熱い息が掛かる。 それだけで、僕の身体も熱くなった。 「…あ、貴方が、望むなーー」 言葉を言い切る前に唇が塞がれた。 少し開いた口に、熱い吐息と共に舌が侵入する。 創士様の舌が僕の舌に少し触れただけで、全身が痺れるような甘さが口内に広がった。 キスをしながらTシャツの裾から侵入した大きな手に肌をなぞられると、熱いのに気持ちが良くて、膝から崩れ落ちそうになる。 「汗臭いだろ?風呂、一緒に入るか?」 唇が掠めるくらいの距離で囁かれ、首を小さく振る。 「今日は、創士様の匂いを感じながらしたい、です」 「でもーー」 「僕の準備は、できています…から」 そう言って、晴れるだけのキスをし身体を密着すると、首の後ろに回った手で顔を上に向かされてまた唇が塞がれる。 さらに濃厚なキスと、お腹に当たる熱い存在に、僕は完全に力が抜けてしまう。 膝に力が入らなくなった僕を創士様は軽々と抱き上げた。 「はぁ、あっ、創士様」 「どうした?」 「あの…その前に……ご飯、仕舞ってきて良いですか?」 そう言って、寝室に向かおうとする創士様を引き止める。 だって、このまま続けたら、折角、創士様のために用意したご飯が、夏の暑さで傷んでしまうから。 「……そうだな。俺もお前が作ってくれたご飯をダメにしたくない。ご飯は、明日の朝一緒に食べよう」 創士様は僕を担いだままキッチンに向かった。

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