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第47話
田村のアパートに着くと、部屋に灯が点いていた。
「柊、お疲れー」
呼び鈴を押すとすぐドアが開いて、額に冷却シートを貼った田村が陽気に出迎えてくれた。
その目は潤んでいて、頬は少し赤いので熱があるみたいだ。
「体調はどう?熱は測った?」
「熱はまだちょっと高いけど、寝たらだいぶ体は楽になった」
「食欲は?」
「腹減ったぁ」
お腹を押さえる田村にふふふと笑って、キッチンで紙袋の中身を取り出す。
「え゛…。それ、もしかしてミネストローネ?」
「あーうん。ご飯ももらってきたから、リゾットにするね…田村?」
振り返ると、田村の潤んだ目の上の眉がハの字になっていた。
「柊…肉は?」
「肉?…うーん、ないかな。これ、野菜たっぷりのミネストローネだし」
「うん。知ってる……」
あからさまにガッカリする田村に苦笑した。
この様子なら治るのも早いかな?
リゾットにしたミネストローネを完食した田村は、薬を飲んで歯を磨くとすぐベッドに潜り込んだ。
「なあ、柊は今日泊まってく?」
「うん、そのつもり」
「そっか……。家の人には?」
「田村の代わりにバイトするって連絡した時に伝えてあるよ」
「そっか…」
田村は、僕の返答を聞くとすぐに眠ってしまった。
額の冷却シートを取り替える際に首元を触れると、まだ少し熱かった。
眠る田村を眺めながら、さっきの様子を思い出す。
鼻はまだズルズル啜っていたけどクシャミは止まったようだ。
熱はまだ少し高いけど薬が効いているから、明日にはもっと良くなるだろう。
タオルケットを肩まで掛けて、田村から離れる。
押入れの上段から来客用の布団を下ろし、下段の衣装ケースから下着を取り出した。
この衣装ケースは、田村が使っていいよと貸してくれたもので、僕は有難く使わせてもらっている。
家からシャツ数枚とボトムスを2本持ち込み、下着は新しいものを3枚買った。
パジャマ代わりのスウェットとタオルは部屋のものを使っていいと言われているので、箪笥から適当に取り出した。
月に1、2度泊めてもらっているから、田村の部屋の勝手がわかるようになった。
田村も僕が来ることを想定して部屋を綺麗にしているので、良いことなのかもしれない。
僕は、田村がもう少し良くなるまでは部屋に泊まることにした。
「明日は鶏肉買ってきて雑炊にしようかな」
そんなことを呟いて、シャワーを浴びるためバスルームに向かった。
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だけど、翌日。
僕は逢坂様に呼び出された。
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