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第63話
目を覚ますと、大きなベッドの上だった。
ガンガンする頭と重い身体を無理矢理起こそうとするが上手く起き上がれない。
よく見ると、僕の手は枷で繋がれていた。
それでもなんとか起き上がる。
眠っている間に着ていた服は脱がされ、手枷だけでなく足枷も着けられていた。
そして、この部屋。
前にも見たことがある。
たぶんーー。
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「ようやく目覚めたね、柊」
「……逢坂、様」
「うむ、顔色が少し良くないね」
「っ」
伸ばされた手を咄嗟に弾いた。
それだけで頭が割れるように痛くて顔を顰める。
朝から少し悪寒がして、頭が痛かった。
それが悪化したのかもしれない。
痛む頭を押さえながら必死に思い出す。
逢坂様の呼び出しを受けた僕は講義が終わるとすぐ大学を出た。
そこに黒塗りの高級車が目の前に止まった。
「迎えにきたよ」
ウインドウを下げ、顔を見せた逢坂様に後退ると、いつの間にか背後にいた男に羽交い締めをされ布で鼻と口を塞がれた。
薬品の匂いに顔を顰めたところまでで記憶は途切れた。
「今日はお金をお返しするだけと伝えたはずです。なのに……」
「何故って?それは僕が了承してないからだよ」
逢坂様は僕の頬を撫で「じっとしてるんだよ」と言うと、僕の首にあの時と同じ首輪を着けた。
「ははっ、やっぱりよく似合うね。最高だよ」
「あっ」
抵抗できない僕は逢坂様に方を押されベッドに倒された。
「あと15分しかないからね。早く準備をしようね」
サイドチェストの2段目の引き出しから箱を取り出し開けると、注射器と小さな瓶に入った薬品が現れた。
慣れた手つきで注射器に薬品を移すと、僕の腕に注射針を当てた。
「や、やめて……」
「ほら動くと針が上手く刺さらなくて痛い思いをするよ」
僕は抵抗できずに注射を打たれた。
前にこの部屋でこの注射を打たれた時も、何度も抵抗してすごく痛い思いをしたから。
「次は後ろを少し解してこれを入れようか」
そう言った逢坂様の手には、サイドチェストの一番下の引き出しから取り出したローターが握られていた。
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