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第66話
「僕はね。柊のこと、ずーっと欲しかったんですよ」
逢坂様はチラッと僕を見て、創士様に刺すような視線を戻した。
「……ずっと?」
「そっ、僕、10年前まで柊のお客様だったんですよ。柊のことは僕も買い取りたいってずっと言っていたのに、あの養父 、僕じゃなくフラッと現れた貴方に1億でポイっと売ってしまったんですよ。あれには本当に腹が立った。1億なら僕に売ってくれてもいいのに。……だってね、こんな丈夫なオモチャ、なかなかないんですよ。柊の前の子は簡単に壊れちゃったし、次の子は試す前に逃げられて……。それであの男は捕まってしまったし……」
最後の方はやれやれといった風に肩を竦めて話す逢坂様に、僕を抱く腕に更に力が入った。
「オモチャ……だと?」
「身寄りも金すら持たない彼らが大人に養ってもらうには対価が必要ですよ。だから、あれは対価です。ボランティアだって、それだけで生活はできないでしょう?」
「……」
逢坂様の発言に創士様は言葉を失っていた。
僕は目を伏せ、まだ続く逢坂様の話が早く終わって欲しいと祈った。
「柊は丈夫なだけでなく頭も良い子ですよね。でも、貴方の名前を出したら、簡単に僕のを咥えてくれたんですよ」
逢坂様の言葉に僕はただただ震えた。
やっぱり、あの人との契約に意味なんてなかった。
「……本当に、健気で、浅はかで、バカな子でーー」
「黙れ」
創士様は静かに言葉を発し逢坂様を睨んだが、逢坂様は一瞬驚いただけでその笑顔を崩すことはなかった。
「黙りませんよ。それに柊には、僕に抱かれる度お金を払ってたんですよ。確か、一回会う度に10万だったよね、柊?」
「っ!」
創士様を見ていた目は僕に向いた。
そして、創士様の目も。
驚きを隠せないその目は、ショックで混乱しているように見えた。
「……それはーーあっ」
側まできた逢坂様によって創士様から引き剥がされた僕は、頭を押さえられベッドにうつ伏せになった。
逢坂様はサイドチェストの一番下からディルド を取り出すと、ローションを足されることなく僕の後ろに一気に突き入れた。
「い゛っ、あああああっっ」
解しきれていない後ろを無理矢理広げられミチミチと音を立て、差し込んだ摩擦で入り口は切れた。
逢坂様は痛みに顔を顰める僕の顎を掴んで、創士様に見せつけるように持ち上げた。
「うっ、んっ、んっ……」
「見てくださいよ。柊のこの苦しそうな顔。僕、この顔大好きなんですよ。貴方も柊を抱く度この顔に興奮してたんじゃないですか?」
「ぁあっ…いたっ、やめ……」
薬で感度が上がっているとはいえ、滑りが足りない状態で玩具を往復される後ろは快感よりも痛みが方が強かった。
「それに、この首輪もよく似合っていると思いませんか?この子のために僕が誂えたんですよ」
首輪に手を掛けられて、息ができない苦しみで目をギュッと閉じた。
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