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第65話
「あの、どうされた……ぇ……ひい、ら、ぎ……?」
僕は振り返ることができなかった。
だって、その声の主は……。
「あーあ、見つかってしまったね」
「……これは、どういうことですか?逢坂さん」
「見ての通りですよ。ねっ」
「っ、あああっ」
今までで一番強い振動は、全身に電気が走るような衝撃だった。
その衝撃は身体を仰け反らせ、動いたことで割れるほどの頭の痛みに襲われた。
片方の手で痛む頭を、もう片方の手でお腹を押さえガクガクと震える身体を、布団に包まれたままそっと抱き起こされた。
「ん…あ……」
後ろからローターを引き抜かれ、脱力した僕はそのまま創士様にもたれかかった。
頭の痛みと寒気で朦朧としながら震える僕の背中を創士様は優しくさすってくれた。
そこがじんわり温かくてほぅっと息を吐いた。
「勝手に抜かないでくださいよ」
「貴方はご自分が何をしているかわかっているんですか?」
朦朧とする視界で、創士様が怒っていて逢坂様はニヤニヤと笑っている。
そんな2人の姿は途切れそうだった僕の意識を現実に戻した。
「ふふ。わかってますよ。だから、聞いたじゃないですか。僕にその子を1億で売ってくれませんか?…って」
「……あの話、猫の話ではなかったのか」
「ふふっ。ある意味"ネコ"じゃないですか」
猫?
何の話をしているのか僕にはわからないけど、笑顔を崩さず話す逢坂様に、僕を抱きしめる創士様の腕は微かに震えていた。
逢坂様は深く息を吐くと、再び口を開いた。
「僕はね。柊のこと、ずーっと欲しかったんですよ」
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