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第99話
ホテルを出ると、そこに田村が待っていた。
「おっ、奪還できたんだな。やればできるじゃん」
「田村……ありがとう」
「いやいや……あ、こちらタクシーの領収書になります」
「えっ」
田村は持っていた領収書を僕ではなく創士様をに差し出した。
レシートサイズの紙を両手で丁寧に。
「ああ、ありがとう。じゃあ帰りの分も合わせてコレでいいか?残りは何か美味しいものでも食べてくれ」
「まいどっ」
ポカンと口を開ける僕の目の前で、創士様が財布から一万円札を2枚差し出し、それを田村が威勢よく受け取った。
「彼、昨日家に来たんだ。ものすごい剣幕で『柊を悲しませてんじゃねぇよ』って叱られたた。だからちゃんと話をして、今日ここへ柊が来たいと言ったら案内して欲しいと頼んだんだ。たぶん義母 が柊を来させないようにしていると思ったから」
「そう、なんですね。……あ、あのっ」
「残りは家に着いてから話すよ。……だから、少しだけ肩貸してもらえるか?最近ずっと寝不足で……安心、したら……眠……」
トンッと僕の肩が重くなった。
「着い、たら……起こし……」
創士様は言い終わる前に眠りに落ちてしまった。
「……はい」
ネクタイに触れながら、少しだけ頭を傾げ肩に乗る頭に乗せた。
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