103 / 118

第103話

その日は創士様のベッドで一緒に眠った。 残していった僕の服は全て捨てられてしまったため創士様のパジャマを借りたらブカブカだった。 「本当、柊はちっちゃいな」 「創士様が大きすぎるんです」 そんな些細な言い合いをしながら寄り添うように眠った。 翌日は2人で早めに家を出てマンションに寄ると、服を着替えて通学用のバッグを取ってきた。 「仕事が終わったら迎えに行くから、準備をして待っていてくれ」 「はい」 そうして、僕は家を出た時と変わらない量の荷物を持って創士様と家に帰った。 ❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎ 木曜日。 いつもと変わりなく6時に目を覚ますと、創士様はもう起きていた。 昨日も一昨日もその前も、この家に帰ってから毎日一緒に眠った。 「柊、おはよう。それと、誕生日おめでとう」 「創士様、おはようござ…んっ」 おでこにキスをされて、つい顔が赤くなってしまう。 家に戻ってから、創士様は毎朝こんな感じだ。 甘い言葉と笑顔に赤面してしまい、恥ずかしくて毎回布団に潜ってしまう。 そんな僕を創士様は毎朝笑う。 「誕生日のお祝いは昨夜聞きました」 「柊だって俺の時言ってくれただろ」 「そ、そうですけど……」 「けど?」 「〜〜〜〜っ!ありがとうございます!」 「ははっ、どういたしまして」 今朝もこうやって僕は甘やかなひと時に動揺してしまった。 教室に入ると、いつもの席で田村が手を振って僕を呼んだ。 「柊、おはー。あと、誕生日おめー!」 「田村、おはよう。あと、ありがとう」 田村とはあれからまた友人関係として一緒にいられるようになった。 以前と同じようにとはいかないけど、友人としての距離で田村は接してくれ、僕も友人として接している。 「お祝いに今日は学食でランチご馳走してやるよ」 「じゃあ、一番高いやつにしようかな。デザート付きで」 「お、おおう。任せとけ」 「冗談だよ。そんなに食べれないから、日替り定食でいいよ」 そう言ったけど、田村はデザートのプリンアラモードもご馳走してくれた。 「女子どもコレ運んでいる俺を珍獣でも見るような目で見ていたくせに、柊が食べると微笑ましい目で見るなんて……ぬぅ、解せぬ!」 恨めしげな顔を見ながら食べることになったけど……。

ともだちにシェアしよう!