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第5話 メモリコンパクション
「すいません。今日はメイド服ではないんですね」
ボクは今日、ここへ来たのは遊びではありません。仕事として任務を遂行 するためである。
必要最低限の道具箱に肩から紐 をかけて、ぶら下げる。いかにもな建造物に遥々 やって来たのだ。なんとなくだが、かゆみを伴 う症状が身体にはしる。
この感覚は感じてはいるが、ろくなものではない。忘れかけていた、あの記憶。そっと奥の片隅 に仕舞い込んでいるものの、ぶり返す身体。
ボクはこれから任務を行う者として、なんとしてでも打破しないと辱 めを受ける羽目に。
そこで、受付にいた常夏寿郎 という者に声をかける。小心者のボクには、この時既 に精神を大分擦 り減らされた。
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