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幼馴染み_7

「で、こんな朝早くに来た理由は?」 「……俺、昨日帰ってから色々考えた。薫に言われた事とか」 「…………」 壮史郎の気持ちを迷惑だと思った事はない。 むしろ本当は……だけど、“――壮史郎は、昔から僕の大事な幼馴染みだ。それはずっと変わらない、今までもこれからも。一緒に居れるよ、幼馴染みでも”そう告げた言葉にも嘘はない。 「壮史ろ――」 「だからデートしようと思う」 「…………え?」 「俺は幼馴染みって関係に胡座を掻きすぎてた。結果、薫が恋愛対象として俺を見てくれないんだって思った」 「え、いや……」 「だからまずはそう見てもらえるように頑張る事にした」 ぜ、全然めげてない……。 「と言うことで今日はデートに行こうと思う」 「…………おやすみ」 閉じかけたドアの隙間に差し込まれた手がそれを勢い良く開く。 身長は追い越せても力比べで壮史郎に勝ったことは未だない。 「行く場所はもう決めてある。薫、準備だ」 「ちょっ、勝手に入るなって!」 「朝ご飯も作ってきたんだ。梅のおにぎり、薫好きだろ?」 「作ってきたって……壮史郎料理出来ないのに?」 「馬鹿にするな、米ぐらい握れる」 ワンルームに置かれているローテーブルの前に座った壮史郎は、手にしていた袋をゴソゴソと漁る。 やれやれと隣に腰を降ろした僕に差し出されたのは、それはそれは大きいおにぎりだった。 「……朝からヘビーすぎない?」 「俺はいつもこのぐらい食べる」 受け取ったそれはずっしりと重く、だけど想像していたより綺麗な三角の形をしていた。 「形、綺麗だね」 「ふふ、そうだろう。沢山練習したからな」 得意げ笑った壮史郎は、早く食べろと僕を急かす。 ラップに包まれたそれに大口を開けて齧り付いた。 「…………」 「……どうだ?」 この米の詰まり加減……形整える事に注力して馬鹿力で握り込んだんだな……。 「だ、だめか……?」 まあ、でも……。 「ん、塩加減ちょうどいいよ。美味しい」 壮史郎なりに一生懸命作ってくれた事に変わりない。

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