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幼馴染み_13
頭を下げて一歩退いた俺に、男は何故だか気まずそうに頬を掻いた。
「あー、悪い。そんな責め立てるつもりじゃなかった。俺、目つき悪いし言い方キツイってよく言われるんだ。気を悪くしたならごめん」
そう告げてくる男に俺は首を傾げる。
「いや何か泣きそうな顔してっから」
「…………大丈夫だ。俺が邪魔をしていたのは事実だから、アンタが謝る必要はない」
男は自分で言った通り些か目つきが悪いが、笑うと細まっていくらか優しい印象になる。輝く金髪が男の印象を更に悪いものにしてしまっているのかもしれないが、俺はよく似合っていると思った。
「ならいいけど。何飲むか悩んでたのか?」
「いや、そういう訳じゃ……」
歯切れ悪く答えた俺の横で男は迷わず自販機へと手を伸ばす。購入したのは炭酸ジュースのようで、取り出したそれを俺の方へと差し出してきた。
「これ、俺のおすすめ。飲むと元気出る」
「…………」
「よく分かんねぇけど元気なかったんだろ?」
受け取るべきか否か戸惑っていると「やるよ」と男は再度俺を促した。
「……ありがとう」
「どーいたしまして」
受け取ったそれは透明なサイダー。
「じゃあな、元気出せよ」
男は次いで同じものを買うとスタスタと歩き去ってしまった。去り際ポンポンと頭を撫でられてしまったが、もしかして未成年にでも間違われたんだろうか。
手の中のサイダー。普段は選ばないそれを開封して一気に煽る。
喉を滑る炭酸のシュワシュワと甘すぎない軽やかな味に、蟠りが流れていく気がした。
「…………旨いな」
男の言葉は過言でないのかもしれない。ほんの少しだけ元気になれたように思う。
「……戻ろう」
デートはまだ始まったばかりなんだ。
「これから頑張ればいい。それだけだ」
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