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第2話

 夜。直人はなかなか寝つけなかった。  佐々木のことが頭から離れず、佐々木のことを考えるとムラムラして、必死に眠ってやり過ごそうとするけれど、眠気はどんどん遠ざかり、体の熱は蓄積していく一方だ。  既に、触ってもいないのにぺニスは緩く勃ち上がってしまっている。こんな状態では眠れない。  直人は仕方なく布団から出て、ベッドに座った。ズボンと下着をずり下げ、性器を露出させる。 (どうしよう、俺、佐々木のこと考えて、こんなことになっちゃってる……)  頭を擡げたぺニスを見て、罪悪感が胸を過る。  それでも萎える様子はなく、直人は下半身へ手を伸ばした。  事務的に擦ってさっさと出してしまおうと考えたのだが、勃起はしたが射精には至らない。中途半端な状態がつづき、直人はもどかしさに泣きそうになる。早く終わらせたいのに、焦ると余計に終わりが遠のく。 (そうだ、佐々木の手だと思えば……)  一刻も早く体に籠る熱を解放したくて、直人はそう考えた。  後ろめたさはある。でも、このままではどうしようもない。  目を閉じれば、すぐに佐々木の顔が思い浮かぶ。  お裾分けの入ったタッパーを受け取るとき、たまに触れる彼の指先の感触を思い出す。男らしい、でも、長くて綺麗な指。 (あっ、佐々木っ、佐々木の、手が、俺のおちんちん、擦って……っ)  直人は一気に興奮し、夢中でぺニスを扱いた。 「っふ、あ……んっ……」  脳内ではしたなく喘ぎながら、唇を噛み締めて必死で声を押し殺す。 (あっあっ、気持ちいいっ、佐々木の手、気持ちいいっ、もっとしてっ、もっと擦ってっ)  鈴口から滲んだ先走りを指に絡め、先端を掌で撫で回す。 (あぁっ、いいっ、それ気持ちいいっ、佐々木っ、もっとくちゅくちゅしてっ、佐々木、佐々木っ)  本当に佐々木に触れられていると錯覚するほど興奮していた。  気づけば見せつけるように脚を開き、淫らに腰を揺らしていた。  していることはいつもの自慰と変わらないのに、今まで感じたことがないほど強い快感だった。 (佐々木、好き、好き、もっと触って、あっ、気持ちいい、もういく、いっちゃう、佐々木の手でいっちゃうっ)  ぺニスを激しく擦り上げ、やがて精を吐き出した。  直人の荒い呼吸が室内を満たす。  視線を向ければ、掌は自身の体液でベットリと汚れていた。  射精の解放感と、佐々木をけがしてしまったような罪悪感に直人は暫く動けなかった。  もう二度と佐々木をおかずにオナニーなどするまいと思っていたのに、一度味わった快感を体は忘れられず、それから頻繁に自慰を行わなければならなくなってしまった。  我慢しようと努力はするけれど、一人で部屋にいると佐々木の笑顔や声がふとした瞬間に蘇り、そうなるともう、熱を発散しなくては治まらなくなるのだ。  そして最近は、ぺニスだけでなくアナルまで弄るようになってしまった。  ぺニスから漏れた蜜を指に纏い、むずむずと疼くアナルに塗りつけ、そのまま指を挿入する。 「んぁっ……」  大きい声が出てしまい、慌てて唇を噛む。  部屋の壁は薄いのだ。隣の部屋まで聞こえてしまうかもしれない。喘ぎ声を佐々木に聞かれたら終わりだ。  だったらこんなことしなければいいとは思う。直人だって本当はしないで済むのならしたくない。  今まではこんなことはなかったのだ。直人は淡白な方で、自慰など滅多にしなかった。その反動なのか、今では毎日のようにこうして自分を慰めなければ落ち着かなくなってしまった。  欲望を吐き出さなければ、翌日もずっとムラムラして佐々木の顔を見るだけで体が疼き、講義にも集中できず、生活に支障をきたしてしまうのだ。  だから必死に声を殺し、性器を擦り、後孔を弄る。  どんどん体が敏感になっていっているような気がした。回数を重ねるほど、快感が増していくのだ。 (あっ、気持ちいっ、佐々木、佐々木、好き、佐々木にお尻弄られるの、気持ちいいっ)  罪悪感に苛まれながらも、直人は心の中で何度も彼を呼び、彼のことを考えながら指を動かす。 (あぁっ、もっと、もっと奥までしてっ、奥まで、あっ、そこ、気持ちいいっ、そこぐりぐりされるの好き、あっ、ダメ、そんなにされたら、気持ちよすぎておかしくなるから、あっ、あっ、そこ、そこ、佐々木のおちんちんでぐりぐりされたい、佐々木、佐々木、好き、好き、大好きっ)  噴き出した精液を、掌で受け止める。  終わったあとは酷く虚しくて、佐々木に対する後ろめたさに消えてしまいたくなる。今すぐ彼のもとへ行って、土下座して謝りたくなる。  勝手に自慰のおかずにされてると知ったら、彼はどう思うだろう。  申し訳なさに泣きたくなりながら、ティッシュに手を伸ばした。  直人はそんな状態だが、佐々木との関係は変わらずつづいていた。時間が合えば一緒に大学へ向かい、たまにお裾分けを貰う。ただの隣人から顔見知りへ、それから友人と呼べるくらいには親しくなれたのかもしれない。佐々木がどう思っているかはわからないけれど。  そんなある日、佐々木に誘われた。 「今日の夜、僕の部屋でご飯食べない? そのあと一緒に飲もうよ」 「え!?」  直人は激しく動揺してしまった。  体は硬直し、頭は真っ白で言葉が出てこない。  直人の反応に、佐々木は表情を曇らせた。 「あ、嫌だったかな?」  直人は目が回るほど首を横に振り回した。眩暈がしてふらついた。 「ご、ごめん、全然、嫌じゃないよっ」 「ほんと? じゃあ来てくれる?」 「で、で、でも、あの、飲むって、俺、あんまり、飲んだことなくて……」  成人しているが、人付き合いの薄い直人は飲み会などに参加することもなく、お酒を飲む機会がほぼなかった。自分がお酒に強いのか弱いのかもわからない。 「そうなんだ。じゃあ軽いのから少しずつ飲んでいこうね」  佐々木はにこりと微笑む。  しかし直人は不安だった。 (大丈夫かな。加減とかわかんない状態で佐々木と飲んだりして……。気づかないうちに酔っ払って、佐々木に絡んだりとかしたら……) 「楽しみだね、木村」 「う、うん」  不安は拭えないが、嬉しそうな佐々木を見るとなんでもかんでも受け入れてしまう。  ゆっくりしたペースで飲めば大丈夫だろう。  直人はそう結論付け、「じゃあまた夜に」と離れていく佐々木に手を振った。  そして夜。直人はお酒のつまみになりそうなものを調べて購入し、それを手土産に佐々木の部屋を訪れた。  はじめて入る佐々木の部屋に異常なほどドキドキしてしまう。  直人と同じワンルームの至って普通の部屋なのに、佐々木がここで生活しているのだと思うと、部屋を見るだけで感動した。  きちんと片付けられた綺麗な部屋だった。 (うう、佐々木の匂いが、佐々木のいい匂いが……どうしよう、こんな部屋で佐々木と一緒に過ごすなんて……心臓おかしくなりそう……)  心臓はずっと、壊れたようにばくばくと脈打っている。すぐにでも止まって死んでしまいそうだ。  胸を押さえる直人に、佐々木が微笑みかけてくる。また心臓が跳ねた。 「ご飯用意するから、座って待ってて」  促され、クッションの上に正座する。  ワンルームなので、見える場所にベッドがあった。 (いつも、あそこで、佐々木が……)  想像してしまいそうになり、直人は慌ててベッドから顔を背けた。  ただのベッドなのに、見てはいけないものを見てしまったような気分だ。  いつも佐々木を頭の中でけがしている自分が、彼の部屋の中を見るだけでも許されないような気がして、直人はじっと視線を落としていた。  そこへ佐々木がやってくる。 「ふふ、木村、なんで正座してるの?」 「え、あ、な、なんとなく……?」 「痺れちゃうよ。もっと楽にして」 「う、うん……」  顔を赤くしながら直人は足を崩した。  並べられる料理はいつも通りどれも美味しそうだ。  準備を終え、佐々木も直人の正面に座る。 「じゃあ食べようか」 「い、いただきます」 「どうぞ」  佐々木の手料理だけでも幸せなのに、佐々木と一緒にご飯を食べられるなんて。 (うう、胸がいっぱいで張り裂けそう……でもすごく美味しそうだし、お腹は空いてるし、ちゃんと食べられそうでよかった……)  折角夕食に誘ってもらったのに、胸がいっぱいで食べられないなんてもったいないし、誘ってくれた佐々木に申し訳ない。  直人は手の込んだ料理を口に運ぶ。 「美味しい……!」 「ほんと? そう言ってもらえて嬉しいな」  佐々木ははにかんだように微笑む。  その表情に胸をきゅうっと締め付けられた。 「いつも美味しいって感想はもらってるけど、こうして目の前で食べて美味しいって言ってもらえると凄く嬉しい。木村の顔を見ると、本当に美味しいんだなって伝わってくるし」  そんなに表情に出てしまっていただろうか。  無自覚だった直人は赤面した。  恥ずかしがる直人に、佐々木は笑みを深めた。 「また一緒に食べてくれる?」 「も、も、もち、もちろん! あの、俺でよければ……っ」 「木村がいいから、誘ってるんだよ」  佐々木の言葉に、笑顔に、頭がくらくらした。  夢心地のまま食事をして、でもご飯は美味しくて、きちんと味わって完食した。  そのあとは直人の手土産をつまみに、お酒を飲みはじめた。 「まずは軽めのね。飲んでみて」 「ん……、甘くて、美味しい」  佐々木がグラスに注いでくれたお酒を、ゆっくりと飲み進める。ジュースのように甘くて、お酒を飲んでいる感覚ではなかった。  だから、名前もわからないお酒を、佐々木に勧められるまま飲みつづけた。 「木村、大丈夫?」 「ん? んー?」 「僕の言ってること、わかる?」 「んんー?」  なにを訊いても反応が鈍い。直人は完全に酔っ払っていた。  佐々木はほくそ笑み、直人の手からグラスを取り上げる。 「あ……なんで……?」 「お酒はもうダメ」 「ダメ……?」 「うん。こっちにおいで、直人」 「んー」  ふにゃふにゃの直人の体を引き寄せる。直人は抵抗せず、佐々木の体に凭れかかった。  直人、と下の名前で呼んでも、酔っている彼は違和感など感じない。 「うーん、心配だなぁ。僕相手ならいいけど、他の人と飲んでるときは気を付けないとダメだよ。こんな風に、気づかない内に強いお酒飲まされて、酔っ払って襲われちゃうからね」 「んー、うん……?」 「危ないから、今後は僕のいないところでは飲まない方がいいね」 「うん……」  どれだけ勝手なことを言っても、よくわかっていない直人は否定しない。わけもわからず頷くだけだ。 「直人、ねぇ、キスしよう?」 「きす……」 「嫌? 僕とキスしたくない?」  直人はぼんやりと佐々木の顔をじっと見つめる。 「佐々木と、キス……?」 「そうだよ」 「…………キス、したい、佐々木と……」  蕩けた瞳でねだる直人に、佐々木はうっとりと目を細めた。  直人はなにも考えられなくなっている状態だが、それでも佐々木とキスをしたいと思っている。それを望んでいる。  佐々木は思わずクスクスと笑みを漏らした。  きっと自分の方が。直人が思うよりも前から、彼よりもずっと強くそれを望んでいた。  漸く手に入る。 「佐々木、キスは……?」  焦れたように直人に呼ばれた。  放っておかれて不満そうな直人の表情を見ると、自然と視線が甘くなる。 「ごめんね」  するりと直人の頬を撫でた。 「キスしよう」 「ん……」  直人はぎゅっと目を閉じた。  その仕種が可愛くて、押し倒してめちゃくちゃに口内を犯して嬲り尽くしてやりたくなるがぐっとこらえた。  優しく唇を重ね、ちゅっちゅっと音を立てて啄む。柔らかい唇の感触を堪能し、それからそっと舌を伸ばした。直人の唇を舌でなぞる。 「ふぁっ……」  直人の肩がびくんっと跳ねた。けれど直人は拒まず、差し込まれる佐々木の舌を受け入れた。  しがみついてくる直人の体を抱き締めながらキスをする。  彼が怖がらないよう優しく口の中を舐め、そっと舌を絡めた。拙い動きで直人もキスに応えてくる。  唇を離すと、直人の瞳は快感に潤んでいた。  濡れた彼の唇を指で撫でる。 「気持ちよかった?」 「ん……」  直人は真っ赤な顔で素直に頷く。  体勢を変え、力の入らない彼の体を後ろから抱き締めた。直人の背中が佐々木の胸にぺったりと張り付く。  佐々木は背後から手を回し、直人の服を捲り上げた。 「んんっ……」  素肌に手を滑らせれば、直人は体をぷるぷると震わせた。擽ったそうに身を捩るが、佐々木の手を拒んでいる様子はない。  アルコールに火照った直人の体は熱かった。  腹部から胸元へ掌を這わせ、柔らかい乳首に触れる。 「んぁっ……」 「直人、オナニーのとき、乳首は弄らないよね」 「ん、ん、あっ……」 「これから僕がたくさん弄って、乳首だけでイけるようにしてあげるね」 「ふぁ……?」 「いやらしい乳首になるの、楽しみだね?」 「んんっ……」  耳を舐めながら囁けば、直人は意味もわからないまま頷いている。  両方の乳首に指先で刺激を与え、立ち上がった突起を指でそっと摘まんだ。 「んあぁっ」  びくびくする直人の体を優しく拘束し、乳首を弄りつづける。 「直人、僕ね、直人の心の声が聞こえるんだ」 「ふ、え……?」 「直人とはじめて会ったときから、ずーっとだよ。覚えてるよね? 直人が階段から落ちて、僕がそれを受け止めた。あのときからずっと。どれだけ距離が離れてても、どこにいても、直人の心の声が聞こえるんだ」 「ん、あっ、あっ」  とんとんと乳頭を指先で叩きながら、佐々木は語りかける。酔っ払っている上に愛撫された状態で、直人は佐々木の話していることなど理解できていないだろう。 「最初は幻聴だと思ったんだ。だって現実にそんなことあるはずないし。階段から落ちてきた直人に一目惚れして、そうしたら直人の方も僕のことを好きになってくれてたなんてそんな都合のいい展開。だから聞こえてくる直人の声は僕の願望が生み出した幻聴だって思ってた」 「あっ、あっ、あんっ」  徐々に乳首から快感を得ているようで、直人の声はどんどん甘くなっていく。  ぷくりと膨らんだ乳首を、指でくにくにと転がした。 「あぁっ、あっ、あっ」 「でも幻聴はどこにいてもなにをしてても聞こえてきて。直人が大学で僕のことを見かけて喜んでる声が聞こえたとき、捜したら直人は確かに見える範囲にいて、幻聴にしては現状とリンクしすぎてる。だから確かめることにしたんだ」 「ひゃんっ」  乳首を指で挟んで優しく摘まみ上げると、直人は腰をくねらせた。 「直人の部屋にカメラを仕掛けて、直人の行動と聞こえてくる心の声が一致するかどうか検証したんだよ。このアパート、防犯カメラもなにもないし入ろうと思えばいつでも部屋に入れちゃうから危ないよ。危険だから、もっとセキュリティのしっかりしたところに一緒に引っ越そうね」 「はあっ、あっあっあんっ」 「引っ越しのことは直人が素面のときに話そうね。それで、カメラで直人を観察したら、やっぱり聞こえてくる心の声と行動はしっかり一致してた。聞こえてくる声は幻聴なんかじゃないって、やっと確信できたんだ」 「あぁんっ、あっ、ひゃ、ぅんっ」  ぴんっと乳首を指で弾くと、直人の腰がびくっと浮いた。先程から直人はずっと腰をもじもじと揺らしている。 「嬉しかったよ。直人が僕のことを好きって言ってくれてるのが、僕の願望じゃなくて直人の本心だってわかったから」 「んひっ、ひ、ひあっ、あっ、はぁんっ」  ぴんぴんぴんっと高速で乳首を弾けば、そのたびに直人の体がびくんびくんと反応する。  直人は何度も太股を擦り合わせた。ズボンの上からでもわかるほど、直人の股間は膨らんでいた。 「僕はすぐにでも直人に気持ちを伝えて、直人を自分のものにしたかった。でもね、直人の心の声をずっと聞きつづけてきた僕は思ったんだ。僕がいきなり告白しても直人は信じないんじゃないかなって」 「あんっ、あっあっあっ」 「きっと警戒して、僕の気持ちを信じられないんじゃないかって。直人は僕のことを好きでいてくれたけど、恋人になりたいと望んでなかったよね。遠くから見られればそれだけでいいって思ってた。親密になりたいとか、そういうことは一切考えてなかった」 「ふあぁっ、は、あっ……」  乳首から指を離し、今度は乳輪をくるくると撫でる。途端に直人の口から物足りなそうな声が上がった。 「んやあぁっ……」 「だから、いきなり告白するのはやめたんだ。ちゃんと、直人が好きっていう僕の気持ちを信じてほしいし。もっと直人と距離を縮めて、段階を踏んでから告白しようって思って。そしたらちょうど直人の隣の部屋が空いてたから引っ越してきたんだよ」 「あっ、やぁっ、んん……っ」  直人はもどかしげに胸を突き出す。乳首を弄ってほしくてねだっているのだろう。  可愛いおねだりに乳首をめちゃくちゃに舐めしゃぶってやりたくなるけど我慢して乳輪を撫で回す。 「直人の心の声がずっと聞こえてて、僕のこと考えて一喜一憂してる直人が壁一枚挟んだ向こうにいるのかと思うと、興奮して何度も乗り込みそうになったんだよ。でもそんなことしたら全部台無しだから、必死に耐えてたんだ」 「や、やんっ」 「痴漢されたのは許せないけど、あれがいいきっかけになったのは確かだよね。絶対に許せないけど」 「ひあっ」  佐々木は直人の胸から手を離し、下半身へと伸ばした。  ずっと誘うように揺れている腰を撫で、股間の膨らみを掌で包み込む。 「んあっ、あっあっ」 「一緒に電車に乗ってるとき、いつも可愛いこと考えてたよね。ほんと、何度襲ってやろうかと思ったか」 「んゃっ、あっあっ」 「嬉しかったよ、直人が僕のこと考えながらオナニーしてくれるようになって。漸く、僕のことを性的な目で見てくれるようになって」 「ふ、あっ、あぁっ」  直人のぺニスを取り出し、既に先走りを滲ませているそれを直接掌に握り込む。 「何回も心の中で僕の名前呼んで、好き好きって言いながらおちんちんとおまんこ弄ってたよね。カメラ仕掛けといてよかったよ。お陰で直人の可愛いオナニー見られたし。声だけでも充分楽しめたけどね」 「んひっ、ひあぁっ」  ぐりぐりと鈴口を擦りながら、もう片方の手で幹を扱く。  直人はがくがくと腰を揺らした。とぷとぷと蜜が溢れ、佐々木の指を汚す。 「でもほんと、我慢するのが大変だったよ。だってすぐ隣にいるんだよ? あんな風に名前を呼ばれて、ほんとはすぐにでも直人のところに行って押し倒して全身ぺろぺろして犯しまくりたかったけど、そんなことしたら直人はびっくりしちゃうよね。直人は恥ずかしがり屋だし。今までの我慢が無駄になっちゃうから頑張って耐えたんだよ」 「んやあぁっ、らめ、らめっ、きもちいっ、あっ、いっちゃ、いっちゃうぅっ、」 「イきそう?」 「ぅんっ、いくっ、あっあっ」 「誰におちんちん弄られてイくの?」 「あ……ささき、ささきにっ、ささきにされていっちゃう、あっ、あんんっ」  理性は飛んでいるが、ちゃんと佐々木にされているという自覚はあるようだ。  舌足らずな声で繰り返し佐々木の名前を呼ぶ直人が可愛くて、ぺニスを擦る手にも熱が籠る。射精を促すように、くちゅくちゅと敏感な先端を弄り回す。 「んぁっ、すき、すき、ささき、ささきに弄られていっちゃうっ」 「いいよ、僕の手に出して」 「あっあっあっあっ、あ────!」  びくびくと体を痙攣させ、直人は射精した。  吐き出された体液を、掌で受け止める。  直人はぐったりと体から力を抜き、呆けたようにただ荒い呼吸を繰り返す。  やがて、とろりと直人の瞼が落ちていった。 「おやすみ、直人」  佐々木は彼の頭のてっぺんに、ちゅっと口づけを落とす。 「明日が楽しみだね」  あどけない直人の寝顔を見つめ、佐々木はうっとりと微笑んだ。

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