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第2話
これまでに時々、静也と遊んだ子供時代を懐かしく思い出すこともあったけど、まさか本人と再会出来る日が来るなんて。
「……高校三年間、これまで以上に勉学にスポーツに励み、そして今しか出来ない様々な経験をして頂きたいと思います。どうか悔いのない、楽しい高校生活を送って下さい」
締めの言葉と共に、校長が壇上を降りた。
入れ替わりに新入生代表の生徒が壇上に上がり、スピーチを始める。だが俺は全然聞いちゃいなかった。俺の目は静也の後ろ姿に釘付けだったから。
――あいつ、戻ってくるんだったら、何で一言連絡してくれないんだよ。
親友、と言ってもいいぐらいの間柄だったと俺は信じていた。それなのに、電話も手紙も寄越さないなんて、あんまりじゃないか? と、今まで自分から静也に連絡していなかったのを棚に上げてイライラしていた。
――くそっ、後でひっ捕まえて文句の一つも言ってやらないと気が済まねえ。
新入生代表のスピーチが終わり、次に在校生代表の挨拶が始まる。
――早く終われよ……
「……おい、要。お前トイレでも我慢してんの?」
後ろに並んでた青山が小声で聞いてきた。落ち着きのない俺の態度を見て、そう思ったようだった。
「違うよ。早く終わんねえかな、ってさ」
「もう終わりだろ? 俺も腹減っちゃってさ。早く昼になって欲しいよな」
在校生の歓迎の挨拶が終わると「入学式は以上で終了です。各クラス毎に教室に戻って、ホームルームに参加して下さい」と案内がある。
俺は何とかして静也が並んでいる3組の列に割り込もうとした。
「おい、お前2組だろ? どこ行くんだよ」
青山に腕を掴まれて、俺は振り返る。
「ちょっと3組のヤツに用があるんだよ」
「おまっ……ちょっと待てよ、入学式早々喧嘩騒ぎとか止めとけよ」
「喧嘩じゃねえよ。ちょっと話があるんだってば」
「一緒だろ? 止めとけって」
「……青山、何か勘違いしてないか? 俺はそんなに喧嘩早くねえぞ?」
「そうかあ? お前の言う事はイマイチ信用出来ないんだよなあ」
青山とそんなやり取りをしてる間に、3組の生徒はさっさと体育館を出て行ってしまっていた。
――くそ、行っちまったじゃねえかよ。まあ、いいや。放課後にでも行ってみるか。
「おいおい、何揉めてるんだ?」
5組の白井が話しかけてきた。
「ちゃんと列に並んでないと、先生に怒られるぞ」
俺が悔し紛れにそう言うと、白井はニヤニヤしながら「要ちゃん、真面目くんモード発動」と言いつつ自分のクラスの列に戻って行った。
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