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第7話(※)

ベッドにもたれ掛かりながら、長く息を吐く。 「あ〜、酔っ払った……」 久しぶり過ぎて酒量を間違えた。気持ち悪くなるほどではないが、明らかに酩酊しているのが自分でもよく分かった。水を飲もうと立ち上がった途端、ピンポーンとインターホンが鳴り響く。カメラなんて便利な物は付いていないので、玄関まで行かなければ相手は分からない。 (なんか頼んでたっけなぁ) それにしてもこんな夜に宅配便とは珍しい。ガチャン、と鍵を開けて扉を押すと、黒い頭が陰から現れた。相手は宅配ではなかった。 「…………(あずま)」 「今、いいですか」 「おー、どした?」 とりあえず入れよ、と彼を中に引き入れる。少し散らかっているが、それはまあ仕方ない。 「お酒飲んでるんですか?」 「うん。あ、東はダメだぞー」 「……分かってますよ」 クスリと東が笑う。今はマスクをしていない。笑った口元がよく見えた。 「それで、どうしたんだ?」 東をベッドに座らせて、自分は床に腰を下ろす。東は部屋の中を見回しながら、平坦な口調で質問を投げてきた。 「先生、今付き合ってる人いないんですか?」 「ゲホッ、え!? なっ、なんで?」 唐突過ぎて噎せた。東は淡々と言葉を続ける。 「いたら、悪いなと思って」 「い、いないけど……何? どういうこと?」 東は答えなかった。代わりに、ベッドから降りて直也(なおや)に近づいてくる。 「な、何」 目の前まで来て、ピタリと動きを止める。慄いて身体を引いた直也に構わず、顔を少し近づけると、緩く微笑んだ。 「夢ですよ、先生」 「………………ゆ、め?」 「僕が隣に越してくる訳ないじゃないですか。全部夢ですよ」 「………………え?」 頭が混乱している。夢、とは。東が蠱惑的に唇の端を吊り上げる。 「ぜーんぶ先生の願望ですよ。僕が隣に越してくるのも、夜中にこうやって部屋に来るのも」 急に目の前が陰って、唇に柔らかい物が当たる。東の顔が近くにあって、シナモンの香りがふわっと漂った。 「こうしてキスするのも、全部。先生が望んだことですよ」 「…………そう、なの?」 「そうですよ。だから」 するり、と太腿に手が触れる。久方ぶりに感じる刺激に背筋が粟立った。東が優しく笑む。 「今からすることも、全部夢だから、何も気にしなくていいんですよ」 抗い難い欲求が目を覚まして、乗り上げてきた彼の腰を抱き寄せる。舌を入れて絡め合うと、東が鼻にかかった声を上げた。 「東、東」 「ン、せんせぇ」 キスの最中に、東が直也のズボンのジッパーに手をかける。下着からまだ柔らかい性器を取り出して、優しく愛撫し始めた。それなら、と直也も彼のズボンをずり下げて、下着越しに尻を揉みしだく。くちゅ、と鳴るはずのない音が鳴った。 「濡れてる……? なんで?」 「夢だから、ですよ」 そっか。納得して、下着の隙間から指を突っ込む。濡れた谷間に指を差し込むと、頭の上でか細い鳴き声が聞こえた。 「あ、せんせ」 「東、気持ちいい?」 「ぁん、きもち、です」 「そっか……」 良い反応に気を良くして、指遣いがどんどん大胆になっていく。カクカクと腰が揺れて、膝が崩れ落ちた。腰を腕で支えると、首元に縋りついてくる。 「あぁ、あ、先生、だめ」 「だめ? やめてほしいの?」 「っ、んん、や、イきたいぃ」 「だろ。もうちょっと頑張ろうな」 ぐぷぐぷと空気の混じった卑猥な音を部屋に響かせて、身を捩る東を責め立てる。断続的に痙攣が始まったタイミングに合わせて、指をグッと腹側に押し込んだ。 「あ――……〜〜ッ!♡♡あうぅ〜……っ♡」 中がきゅうきゅうとうねって、蜜が直也の手のひらを濡らす。波が収まった頃に指を抜いて、ガクガクと余韻に震える身体をそっと床に寝かせた。昇天してぐったりと投げ出された脚から下着を抜いて、両脚を押し広げる。 「入れるよ、東」 「ん、きて、せんせ……」 硬くなった性器の先端を押し付けて、東の中に入る。一度達してトロトロになった中が、嬉しそうに直也を締め付けた。 「あ、あぁ、せんせ、せんせぇっ」 「あ、はあー……気持ちいい、東の中」 夢の中だし、と何も気にせず腰を打ちつける。大して気を遣わなくても、東は気持ちよさそうに腰をくねらせて喘いでいた。 「はっ、東、東……っ」 「せんせ、だめ、イっちゃう、だめえぇぇ♡」 背中を弓なりに反らせて、東がまた達する。キツく締め付けてくる中を往復して、自分の欲のままに彼を犯した。 「ひぅ、せんせ、ぼく、イってるのにっ♡」 「もうちょっと、だから……っ」 逃げる腰を掴んで強く腰を送る。ぐぅ、と再び締まったタイミングで、堪えきれずに精を吐き出した。 「はー……っ、あ、ごめん、中に出した……」 「んん……いいんですよ、ゆめだから……♡」 ああ、そうだった。納得して、疲労からか急に眠気が来た。あれ。なんで、夢の中なのに眠くなるんだっけ。 「…………おやすみなさい、せんせい」 東がそっと目元にキスを落とす。何もかもどうでも良くなって、心地良い睡魔にふっと意識を手放した。

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