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第4話

 煙草を取り出すと、渚がさっとライターで火をつけた。   「礼央さん、どうしましょう。俺、寮に住んでるんですけど追い出されますかね?」 「そりゃそうだろ。女のところに行けば」 「……俺、嫌なんですよね、客のところ行くの。めんどくさい。だからいまだに寮住まいだし」 「桐藤に寮あるか確認しなかったおまえの落ち度だろ」 「え〜、そんな。礼央さんの部屋で一緒に住んでもいいですか?」 「図々しすぎて引くわ。自分で部屋借りろよ」 「お願いします、礼央さん」    渚が捨てられた子犬ような目でじっと見つめてくる。  めんどくさい。だからこいつは嫌い。   「はあ。掃除洗濯料理その他諸々、全部おまえがやるなら。それに掛かる費用もおまえ持ち」    めんどくさがって、ならホテルでもなんでも行きますという返事を期待したオレが甘かった。  渚は目を輝かせて「嬉しい! 頑張ります、礼央さん!」と抱きついてきた。   「離れろ」 「嬉しい、なんか俺たち同棲し始めるカップルみたいですね!」 「……おまえ薬やってんの?」 「そんなんやってないですよ!」 「どっちでもいいけど。俺の部屋でやるなよ」 「だからやってないですって!」  あまりにも頓珍漢なことを言うから恐ろしくなった。  オレ、だいぶ早まったかもしれない……。  それから渚は、飽きもせず礼央の部屋に住んでいる。  そしてここ数年は、もっと厄介な問題まで起きていた。  

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