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第9話
流星に店内の案内をしていると、キャストたちの出勤時間になった。
礼央が勝手に新人教育係に任命しているキャスト、蒼 が出勤してくると、ちょいちょいと手招きして呼ぶ。
蒼は新人を任せても嫌な顔をしない貴重なキャストだ。
「蒼くんおはよ〜! この子流星くん。今日からなんだけど、経験者だから。とりあえず今日一日は一緒に卓まわってまらえる?」
「わかりました! よろしくお願いします、流星さん」
「こちらこそよろしくお願いします、蒼さん」
「とりあえず更衣室で荷物置いてきましょうか。店長、ロッカー何番使っていいですか?」
「二十二番で!」
「了解です。案内しますねー」
蒼と流星が更衣室に向かうのを横目に、お店のグループメッセージに連絡がきていないか確認する。
同伴予定があるキャストは、出勤時間までにメッセージか電話で連絡しないと遅刻扱いになる。
うーん、今日同伴してくるのは渚だけか。
もうちょい渚以外のやつにも頑張ってほしいのが本音だ。
この店がオープンしてからずっと渚がナンバーワンだから、他のキャストは渚がナンバーワンで当たり前で、抜かそうという野心が最近全く感じられない。
大なり小なり、おまえら金欲しくてホストやってんじゃねーの? と聞きたくなる。
渚だけは、礼央との約束があるから売り上げを落とすようなことはしない。
けど、他のキャストとの張り合いがあればもっと金を落としてくれそうな客が何人かいるから勿体ない。
この店の流れが変わるようなことが何かあればいいんだろうけど。
そんなこと簡単に起こらないから、もういい加減考えなければいけないだろうか。
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