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第17話 渚視点

 礼央を支えながら、来た道を戻る。  今度はマンションの住民と鉢合わせなくてほっとする。  こんな酔っ払ってぐでんぐてんになっている可愛い礼央を、極力人に見せたくなかった。  ソファに寝転がる礼央にペットボトルの経口補水液を渡す。  水よりこっちの方が二日酔いになりにくいので、家に常備してある。 「礼央さーん、飲めます?」  声をかけながらネクタイを解き、ベストを脱がす。ベルトを緩めると苦しそうに眉間に寄っていたしわがなくなった。 「二日酔いなっちゃいますよー? ちな、あと八時間後には起きて仕事に行く準備しなきゃいけません」 「ゔ……っ」  さっきまでだんまりだった礼央が仕事と聞くと嫌そうに唸る。なんだこの可愛い生きものは。 「なぎさ……」 「はい、礼央さんの渚はここにいますよ」 「飲ませろ……」 「はいっ」  ペットボトルのキャップを開け、経口補水液を口に含むと礼央にくちづけて流し込む。  わずかに上下する喉元に欲情する。エロすぎる….。  初めて礼央とセックスしたときも、水を口移しで飲ませて、そのままなし崩しにセックスに持ち込んだ。幸せで死ぬかと思ったけど、生きててよかった!  礼央は泥酔してもちゃんと記憶があるタイプなので、幸い強姦だの犯罪者だの言われずに済んだ。  和姦に持ち込んだ自分の手腕に惚れ惚れする。  昔のことを思い出しながら、何度も口移しで飲ませてあげる。  何回か繰り返すと「もーいらない」と舌足らずな声で伝えてきた。

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