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第22話
流星が出勤してくるのをじりじりと待っていると、「おはよーございまーす」と間延びした声が聞こえる。随分慣れてきたなこいつも。
「あっ! 店長! 昨日はごちそうさまでした! タクシー代まで貰っちゃって。あ、おつり渚さんに返した方がいいですか?」
「いい、いい、もらって……」
「あれ? 二日酔いですか? ヘパ飲みます? たしかバッグに入ってたような……」
「二日酔いじゃないから大丈夫。流星くん、渚が昨日いたことは誰にも言わないでほしいんだけど……」
「えっ? なんでてす? みんな知ってるっぽいですけど」
「は?」
「いや、俺にガン飛ばすのやめてくださいって! コンビニで洸 くんに会ったから店長と渚さんって仲良いんですね〜って言ったら、『そうなんすよ! 前の店のナンバーワンツーで、今は一緒に住んでるなんてすごい仲良いですよね〜』って」
何故洸がそこまで知っている!
洸がこの店に入店したのはここ一、二年前だったはずだ。のんびりと働いているさとり世代ホストがなぜ礼央と渚が住んでることを……!!
「え? 渚さんが言ってるみたいですよ? 知らなかったんですか? ていうかなんでそこまで隠そうとするんです?」
「……流星くん、色々あるんだよ」
「急に心の壁を感じます〜」
どういうことだ、渚が言っている?
こういう時に限って渚は同伴出勤だから捕まらないし。
まあいい、今日家帰ったらどういうつもりか聞こう。
「ていうかそんな隠したがってるのって逆になんか怪しくないですか?」
「流星」
「あっ、すみません。準備してきまーす」
怪しい? 確かにそうかもしれない。
だって健全な関係じゃないから。
渚を住ませることを決断した自分自身にも、不健全な関係に持ち込んだ渚に対してもイライラしてきた。
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