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第2話

 腹の奥が熱い。慢性的な空腹感が迫り上がってきて、たまらなく、さみしい。  夏樹に触れられるだけで、妙に体が痺れてしまう。マッサージさえも、変な気分になる。  準備を進めないと……、自分から誘っておいて、シないのはおかしい。夏樹なら許してくれるかもしれないが「シたい」って言ってたから……準備しないと……。  身を清める動作にはだいぶ慣れた。2日に1回のペースでアナルプラグも挿れてみた。初めの頃よりは、楽に入るようになったし、なんだか便通も良くなった気がする。……健康的だと思う。 「ふ、……ん、……んっンッ……」  孔の表面を撫でるだけで、痺れが這い上がる。既に自身が勃ち上がってきていた。これだと、彼のことばかり言ってられない。  石鹸で滑りがあるからか、指先が簡単に入った。ここでほぐしておけば、後が楽か? 夏樹も楽になるか? 「ンッ、ぁ……、ん、んんぅ、んっ」  ぐちぐちっ、水音が鳴る。尻が勝手に女のように濡れるわけがないから、シリンジで入れたお湯だと思う。  手が止まらなくなる。怒張が解けて、精液が散った。一気に力が抜け、床に転がる。足音が聞こえる。 「なんかすげぇ音聞こえたけど大丈夫か!? 頭打ってねぇか!? 入るぞ!」  浴室のドアが開かれる。白い湯気が夏樹を包む。外気が入ってきて少し寒く感じた。 「あ、あれ? 小焼……、これ、精液だな……?」 「ばか」 「ご、ごめん! だって、小焼から誘ってくれるのが嬉しくて、我慢できなかったんだよ!」  ……なんか勘違いしている? ああ、こいつ、先に浴室でヌいてたのか。だから、掃除し損なったと思ってるのか。 「お前の精液で滑りました」 「誠に申し訳ございません!」 「……許してやるんで、部屋に戻っててください。もう出ますから」 「うぅ。ごめんな。怪我してないか?」 「大丈夫なので」  少ししょんぼりした様子の夏樹が部屋に戻った数分後。身支度を整え、部屋へ向かう。  夏樹はベッドにいた。甘露を煮詰めたような焦茶色の目が熱を帯びている。普段は可愛らしい子犬のようなやつなのに、こんな時は妙な色気がある。ハスキー犬のような凛々しさだな。サイズは豆柴犬だが。  私がベッドに腰掛けたら、起きあがって抱きついてくる。背中に硬いモノがあたった。胸のあたりが少し苦しくなる。腹の虫が鳴いた。欲しい。食べたい。さみしい。 「夏樹、『よし』」 「ん。キスしたいから、こっち向いてくれ」  向きなおせば、すぐに唇が重なる。舐めて、吸って、絡めて、気持ち良い。耳を両手で塞がれて、口内の水音が響く。腰が痺れてくる。 「ふ、ンんっ」 「小焼。すごいエロい顔してる」 「ばか!」 「おう。バカだよ。おまえのことが大好きな、超ウルトラスペシャルテクニシャンなスポーツドクターだ! もっかいキスしよ?」 「ンッ……ぁ、んんっ、は、ぁ」  妙な浮遊感が心地良い。力が抜けていく。ドサッ、とベッドに沈む。服の中に手が入ってきて、胸を掴まれた。 「あー、やっぱりふかふかおっぱい最高だな!」 「ふっ、ばか、ばか、ぁ、ぃっ!」 「ん? おっ、感じるようになってきたか? いっぱい触ったら、おれのように乳首だけでイけるようにな、いだだだだ! 抓るなってぇ! ァアッンッ!」  夏樹の乳首を抓ってやったら、イッたらしい。Tシャツにシミができた。私の服なのに……。洗えば済むから良いが。夏樹はすぐに脱いでいた。 「お前の宝剣、何回抜けるんですか?」 「小焼が触るからだって。普段はもっとこう、長持ちする!」  長持ちって何だ。長持ちって。  童顔には似合わない雄々しいモノに目がいく。まだまだ元気そうだな……。棹を軽く握って扱いてやったら、いつもより高めの声が聞こえる。 「あ、きもちい……、おれも、小焼の触るー。ってか、冑合わせすっか!」 「かぶとあわせってなんですか?」 「ちんこ合わせて擦るやつ。脱がすから、腰あげてくれ」  私は腰を少し浮かせる。夏樹は下着ごとズボンを引っこ抜いた。外気にさらされて少し強張る。  夏樹はヘッドスペースのローションを取って、そのまま下腹部に垂らした。どろり、ひんやりした感触が流れていくのに、体が熱くなる。 「おっ、もう勃ってんだな。へへ、嬉しい」 「っ、あ……、んん、ンッ……ふ、ぅ、……アッ!」 「小焼。おれ、おまえの声聞きたい」 「ばかっ! あ、ヒッ……や、アッ! あ、ん、ンッ! ……ぁ、んん」  腰を擦り合わせる度に痺れていく。意志とは関係無く、勝手に声が出る。視界が滲んできた。きもちい。きもちよくて、おかしい。 「腰揺れてる。気持ち良いか?」 「聞くなぁっ! あ、ああーッ! イッ、……ゃっ……あ、……ンンッ! な、つき、イッくぅ!」 「いっ、だぁああああ!」  腹の間に白濁が散る。  抱き寄せた夏樹の肩に、歯形がくっきり残っていた。 「すみません……」 「痛いけど、気持ち良いから大丈夫だ! 小焼の服もドロドロになっちまったなぁ。はい、ばんざーい」  黙って指示に従う。きっと『お兄ちゃん』の習性なんだと思う。小さい子供ではないんだから、言われなくても脱げるんだが、夏樹は脱がせたいらしい。  服はぞんざいにベッドから落とされ、夏樹はまた私の胸を揉んでいる。妙な気分になってきた。 「お前、胸揉みたいだけでしょう?」 「目の前にでっかいおっぱいあったら揉みたくなるってぇ」 「ッン!」 「……これ、気持ち良いか?」 「ッ、ン、へんな、感じがする……」  男の揉んで何が楽しいのかわからない。むず痒くて、くすぐったい。それなのに、吐息が甘く香る。  唇を重ねてから、舌が首筋を舐って、そのまま乳首を舐められ、甘噛みされた。腰が浮いた。頭がぼんやりしてくる。おかしい。口に手をあてて、横を向く。変だ。これ、おかしい。 「小焼。顔見たい」 「嫌だ。胸ばっか触るな、ぁッ!」 「わかったよ。えーっと、どうする? こんまま正常位でシて良いか? それとも、バックにすっか? おれは小焼の顔見てたいけど、バックの方が奥まで入っからオススメかな!」 「……このままで良い」 「そんじゃ、こんままな」  顔を見られるのは恥ずかしい。だが、奥まで入れられたら気持ち良くておかしくなるから嫌だ。良すぎて怖い。  ローションをかけられて、腰が少し浮いた。夏樹と目が合う。 「慣らすから、心配すんなって。いきなり突っ込まねぇよ」  ニカッと笑う姿は、人懐こい犬のようだ。頭を撫でるには少し遠い。  尻を撫でられ、普段は出口の孔を入口にするために揉まれる。まだ表面を触られているだけなのに、もうのぼりつめてしまいそうだった。「入れるぞ」の言葉と同時に指が入る。 「アッー、あああっ、あ! あっ!」 「な、なんだか前より簡単に入るようになってねぇ? 小焼、だんだんエロくなってんな?」 「ばかっ! ば、かァ! アッ、ああン! あー! ひっ、ぁ、やぁッ!」 「ぴぎゃっ! 蹴るなよ!」 「いっ……、やぁ、ら! そこ……、やっ……、ら! や……、らァっ……!」  何が何だかわからない。妙な幸福感に包まれて、体が弓形に反って痙攣した。ガクガク震えて、涙が流れた。こわい。気持ち良くて、おかしい。 「ドライオーガズムってこんな感じなんだなぁ、初めて見た。こっちだけでイクって、ほんと、エロいな小焼!」 「にゃ、あ、ア……、な、つき、……、ッ……なつき、ィ、や、こわぃ、ゃ、らぁ!」 「ごめんごめん。気持ち良くてびっくりしちゃったな。小焼はとても真面目で良い子だから、きちんと開発しちゃってたんだな。大丈夫大丈夫」 「ひっ! ああっ! あぅっ――んっ……んっ! ぃあぁ! なつ、き、そこ、へん……!」 「ん。いくらでも変になって良いよ。入れっからな」  ゴムをつけて、ローションを垂らしてから、夏樹が入ってくる。どれだけ興奮していても、きちんとゴムをつけるのは、医者だからなのかもしれない。  ナカをゆっくり擦られて、欲しいところに全部触れられて、声がいくらでも出てしまう。涙が頬を伝っていく。きもちい。抱えた足を舐められて、痺れてくる。  もっと欲しい。もっと、もっと、夏樹が欲しい。 「なつき、なつきぃ」 「っん、どうした? 痛いか?」 「もっと、……めちゃくちゃに、して、ほしい……!」  引き寄せて頭を撫でる。もっと夏樹を感じたい。もっと、欲しい。ぐちゅぐちゅ、と水音が聞こえる。全身の血が沸騰したかのように熱い。 「もっ、どうしてそんなこと言うんだよぉ。出ちゃっただろ……。でも、大丈夫だ! おれのマグナムはリロードも速いからなっ!」  言い返す言葉も無い。引き抜かれて、さみしい。さみしい。  ゴムを取り替えた夏樹が再び入って来る。あつい。もっと、もっと欲しい。腹の虫が鳴く。腹が減った。欲しい。さみしい。いっぱい、欲しい。 「なつき、おなかいっぱいになるまで、して……」

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