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第2話

大家さんから、ぼくは信じられない話を聞いた。 日中、ひどい時はぼくが仕事に行った後すぐというくらい朝早くから妻だけがどこかに外出し、夕方まで帰って来ていなかった様だ。 その間、悠太郎はずっとひとりだった可能性が高く、食事も与えられていない状況だったのではないか?という事だった。 気になって声をかけた事もあったけれど、妻はそんな事はしていないと言い、時には大家さんにプライバシーの侵害だと言った事もあったらしい。 確かに悠太郎は3歳にしては小柄で言葉もあまり発していないところはあった。でも、それは早生まれで発育が少し遅いからだと思っていた。 「あんた、幼稚園の先生なのに自分の子供の事は全然分かってなかったんだね」 大家さんにそう言われて、ぼくは頭が真っ白になった。 親に事情を話し、悠太郎を預けて仕事に出る事にしたけれど、職場では既にぼくの家の事情が知れ渡り、皆が好奇の目でぼくを見てきた。 「先生なのに子供の変化に気づけないなんて」 大家さんに言われたのと同じ言葉を職場でも浴びせられ、ぼくは精神的に参ってしまって職場に行く事が出来なくなった。 悠太郎の為にも頑張らないといけないのに。 分かっているのに、職場に行こうとすると身体が震え、涙が止まらなかった。

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