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第6話

「……おや?可愛いお客さん、いつの間に来てたのかな……」 ピアノを弾き終えると、男の人は張りのある声で普通に日本語を話し、立ち上がってぼくらの方にやって来る。 座っていたからよく分からなかったけど、子供向けアニメのキャラクターのついたエプロンを着ているその人はかなり背が高くて脚も長い人だった。 「ぴあの!!」 「わぁっ、すみません、息子があなたの素敵なピアノの音色を聞いてこちらに入りたがってしまって……」 「そうでしたか。とても嬉しいお言葉、ありがとうございます。良かったら息子さんの好きな曲を弾きましょうか。君、お名前言えるかな?」 優しい笑顔で悠太郎に話しかけてくれたけど、悠太郎はぼくに抱きついて俯いてしまう。 「ふふっ、人見知りしてますね。でもこんなに小さいのにピアノが好きなんて、お父さんかお母さんがピアノを弾ける方ですか?」 「あ……はい……ぼくも……妻も……幼稚園教諭で……」 ぼくは、悠太郎がいるのに話しているうちに泣いてしまっていた。 初めて会った人の前でどうかしてるって思われただろうけど、止められなかった。

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