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第9話

黄嶋さんに悠太郎をお願いし、ぼくは青木さんに案内されてホールのすぐ横にあった職員室に入らせて頂いていた。 「春希、ちょっといいかな。一緒に話を聞いて欲しいんだけど」 「……どうしたの?」 一番奥にいた男の人に青木さんが声をかける。 縁なしの眼鏡をかけた、黒髪の短髪で背が青木さんよりも高い人。 青木さんたちは無地のTシャツにカーディガンやパーカーを羽織り、ジーンズを履いているというような服装だったけど、この人は真っ黒いスーツをノーネクタイで着ていて、その上からも分かるくらいガッシリとした体つきだった。 「彼、桃田陽輔くんって言うんだけど何か困ってるみたいなんだよね。顔の痣も気になるし」 「……好きだな、春翔は。人助け」 低い声のその人が眼鏡を直しながらぼくを見る。 その切れ長の鋭い眼に、ぼくは少し恐怖を感じてしまった。 「春希、そんな目で見たらダメだってば。怖がられてるよ。あっ、桃田くん、彼は僕と春楓の幼馴染で赤木春希(あかぎはるき)。幼稚園教諭の資格の他に大学院で法律を学んで弁護士資格を持っていて、園では幼稚園教諭兼事務長として働いているんですよ」 「……いいよ、もう。慣れてるから。それで、貴方はどう困っているんですか?」 「あ、あの、えっと……」

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