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第11話

「春翔、離婚問題は何とかなりそうだけど、彼の仕事の問題はまだ解決していないよね。今の環境下でお子さんと暮らしていく事は彼にとってもお子さんにとっても良くないと思う」 「それなんだけどさ、桃田くんって幼稚園教諭の資格持ってるって話だからうちで働けないかなって思って。新庄さんに事情話したら雇ってくれそうじゃない?」 「確かにそうかもしれないけど、新庄さん、ピアノが上手く弾ける人じゃなかったらここでは働かせてくれないんじゃないかな。春翔が前に御主人のDVから助けようとした人、資格持ってて幼稚園で働いていた経験もあったけどピアノが下手だったから不動産会社の事務としてならって言われてたよね」 「あぁ、そっか。桃田くん、君はピアノを弾くのは得意な方ですか?」 ふたりで話をしていると思っていたら、いきなり青木さんがぼくに振ってきた。 「えっ、えーと、ピアノは弾くのが大好きですが、得意かどうかは自分ではよく分かりません……」 「じゃあ……ちょっとホールで弾いてみて貰えませんか?」 ぼくが正直な気持ちを口にすると、青木さんは笑顔でそう言ってくる。 「わ……分かりました……」 ぼく、上手く弾けたら雇ってもらえるのかな。 悠太郎の為にも頑張らなくちゃ。

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