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第18話
はるき先生がぼくが料理を全く出来ない話をはると先生とはるか先生(おふたりと同じくそう呼んでいい事になった)に話した結果、ぼくは仕事を終えた先生方3人と悠太郎とはると先生のお宅で一緒にお昼ご飯を作って食べる事になった。
幼稚園のすぐ裏にある、はると先生のお宅は白を基調としたリビングルームの真ん中にグランドピアノがふたつあるすごく広いワンフロアの家で、オレンジのいい香りがした。
「スーツだとやりずらいだろうから、これに着替えろよ」
「ありがとうございます」
はるか先生にはると先生のお宅に置きっぱなしというジャージを貸して頂き、ぼくはそれに着替えさせて頂いていた。
「ぴあの!!ふたつある!!」
悠太郎はふたつもあるグランドピアノにとても興奮していた。
「うん、ここでコンサートをする事もあるんだよ、悠太郎くん」
「ぴあの!!ふたつききたい!!」
「分かった。はるき先生が着替え終わったら僕とはるき先生で弾こうかな。春楓、もも先生の料理指導、任せてもいい?」
「あぁ、任せとけ!」
はるき先生もはると先生のお宅に着替えを置いているらしく、別室で着替えていた。
「お待たせ」
ぼくが洗面所をお借りして着替え終わってすぐ、黒いパーカーに濃紺のジーンズ姿のはるき先生が現れる。
ラフな格好をしていても、その大きな身体のせいか怖そうな雰囲気は残っていた。
「春希、悪いんだけど、僕と何曲か連弾してくれる?可愛いお客様からリクエストがあって」
「……いいけど」
「す、すみません、うちの悠太郎がワガママを言って……」
「気にしないで下さい。それよりも君は料理を頑張って下さいね」
「は……はいっ……!!」
おふたりに悠太郎をお願いすると、ぼくは、はるか先生のいるキッチンに向かった。
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