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第27話
「次年度はこのメンバーで始動する事になり、新しく、桃田陽輔先生が仲間入りします。もも先生は体調を崩していた事もあるので着任早々すぐに担任を持つのは少し可哀想だと思うから年少の副担任をお願いしたいと思ったんだけど、意見のある人はいないかな?」
園長先生の問いかけに、反論する声はなかった。
「じゃあ、もも先生は年少クラスの副担任という事でお願いするね」
「は、はいっ!精一杯頑張ります!!よろしくお願い致します!!」
ぼくは立ち上がり、園長先生の方に頭を下げる。
「もも先生が副担任なら、年少クラスは園長代理と兼務で春翔君にお願いしてもいいかな。クラス運営だけでなく、もも先生と悠太郎君のサポート、しっかり頼むよ」
「分かりました」
園長先生の言葉に、はると先生が応える。
良かった、はると先生が一緒なら絶対大丈夫だ。
「年中は浩だな。しっかり働くように」
「げっ、マジかよ。しゃーねーなぁ……」
名前を呼ばれると、紺野さんは面倒くさそうに応える。
「年長は黄嶋君。お願いしてもいいかな
?」
「分かりました!」
はるか先生の明るい声が室内に響いた。
「ゆみ先生は教務補佐をお願いするね」
「承知しました……」
園長先生の言葉に頷くゆみ先生。
「事務長は引き続き赤木君にお願いするけど、他の先生方のサポートもお願いするね」
「……分かりました」
皆さんが動きやすい服装の中、はるき先生は今日もノーネクタイのスーツ姿だ。
「桃田悠太郎君、パパと同じクラスで頑張ろう」
「…………」
側に来てくれて声を掛けてくれた園長先生に、悠太郎は恥ずかしがってぼくに抱きついてくる。
「す、すみません、人見知りで…」
「大丈夫だよ。わたし、うちの園児に泣かれた事もあるから。もも先生、困った事があったら遠慮せずわたしを始めとする園の仲間を頼ってね」
にっこりと微笑みながらぼくの手を握ってくる園長先生。
「あ、ありがとうございます」
「もも先生、早速だけど君には入園式の準備の他に入退場の演奏をお願いするよ。楽譜は、後程はるき先生にコピーしてもらってね」
「は…はい、分かりました」
「がくふ!ぴあの!!」
悠太郎が楽譜という言葉に反応する。
「おや、楽譜が何か知ってるんだね、悠太郎君。凄いなぁ」
「ぴあの!!パパ、ぴあのききたい!!」
「え…えっと……」
「悠太郎、俺が弾いてやるからホール行こうぜ!!」
「うん!!」
悠太郎にせがまれてどうしようか迷っていると、はるか先生が助けてくれる。
「ありがとうございます、はるか先生」
「会議終わったんですよね?園長先生」
「あぁ、後はもも先生に家の事を伝えるだけだったよ」
「んじゃ、俺、ピアノ弾きに行きまーす!!」
はるか先生は悠太郎を抱いて嬉しそうに職員室を出て行く。
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