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第37話

悠太郎はそんな先生方のやり取りの前、ケーキを食べている途中で力尽きてしまったみたいで、椅子に座ったまま眠ってしまっていた。 「食べながら寝てしまうなんて、可愛いですね……」 はると先生がリビングに布団を敷いてくれて、そこに悠太郎を寝かせてくれた。 「もも先生、明日はお休みですし、今日はこのまま寝かせてあげた方が良いと思いますので家に泊まっていって下さい」 「あ……はい、ありがとうございます……」 申し訳なかったけど、悠太郎は眠ってる間に車に載せると起きてしまって大泣きしてしまうので、はると先生のお言葉に甘えさせてもらう事にした。 そこから大人だけで改めて乾杯し、ぼくの隣には紺野さんが来ていた。 「お前、全然飲んでねーじゃねーか」 ようやく空にしたグラスに並々とお酒を注ぐ紺野さん。 「酒も飲み慣れてねーと、謝恩会で保護者に潰されるぜ?」 「ふふっ、経験者は語る、だね」 「うるせー!!あん時は初めての謝恩会でワインしかねぇ店だったからだっつーの!!」 紺野さんを笑ったのは、はると先生だ。 先生はぼくの真向かいに、はるか先生を真ん中にしてはるき先生と並んで座って違う色のワインを飲んでいる。 「あん時の浩、やばかったよな。トイレからなかなか出てこなくて見に行ったら便器抱えて寝ててめっちゃ笑えた」 「春希と僕で運んで家まで送ったよね、懐かしいなぁ」 「やめろよ!!そんな話どーでもいいだろ?」 3人の先生方と紺野さんはすごく楽しそうに話しているように見える。 いいなぁ、みんな仲良しの職場って。 前の職場にはそんな雰囲気、全然なかった。 だからこそ、最初に声を掛けてくれた妻の存在が心強くて、この人とずっと一緒にいたいなぁって思ったんだ。 それなのに……。

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