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第41話
「あ……あの……」
ぼくが後を追いかけると、紺野さんは冷蔵庫を開けて缶ビールをふたつ出し、綺麗に片付いているテーブルの上に置いた。
「まぁ、とりあえず飲もうぜ」
「は、はぁ……」
さっきと同じ席に同じように並んで座ると、ぼくたちは小さく乾杯する。
「あいつら、高校生の時から付き合ってんだって」
「えっ!?付き合ってるって……」
「信じられねーだろ?元々はただの幼馴染だったけど、春希と春翔はガキの頃からずっと春楓が好きで、それで高校生の時に春楓にふたりしてカミングアウトしたんだって。春楓、あの性格だからふたりに流されちまったんだろうな。で、春楓がどっちかひとりなんて選べないっていうから3人で付き合ってんだってさ」
ぼくが驚いて聞き返すと、紺野さんが教えてくれた。
「で、でも、皆さん指輪してましたよね?」
「あぁ、あれ?保護者にバレないようにそれぞれ結婚してるように見せてるつもりらしいけど、本当は3人の結婚指輪って話。家も春翔んちってなっててふたりは別の所に住んでるって事になってるけど、名義は春楓でローンを3人で払ってここで暮らしてんだ」
話しながら紺野さんはビールを飲み干して、また冷蔵庫からお代わりを持ってくる。
「お前、あいつらの事、軽蔑する?」
「えっ、いえ、そんな事は……」
信じられない気持ちはあるけど、皆さんとても素晴らしい方ばかりだ。
「ならいいんだけど。オレもオヤジや本人たちから最初に聞いた時はビビったけど、あいつら見てたら男同士って事も3人で付き合ってる事もどーでも良くなったんだ」
「そう……なんですね……」
確かに、お互いを想いあっていて、周りに迷惑をかけていなければ、それがどんなカタチでもいいと思う。
「春希がどうしようもねーんだよな。お堅い感じに見せてるけど、あいつの頭ん中、常に春楓とヤる事しか考えてねーと思う。去年のお泊まり会の時、あいつ絶対春楓とトイレでヤッてたと思うんだよなー」
「えぇっ!?そんな、まさか」
「しっ!声がデカいって」
「う…ううっ……」
ぼくはびっくりし過ぎてつい大きな声を出してしまい、紺野さんの手に口を塞がれてしまってた。
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