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第53話

朝から幼稚園にずっといた悠太郎は疲れたのかカレーライスを食べ終えると眠たいと言い出し、ベッドに入るとすぐに眠ってしまった。 「あっ、ぼくが洗ったのに」 悠太郎を寝かしつけてリビングに戻ってくると、浩がキッチンでお皿を洗っている。 「これくらい大したことねーよ」 「……ありがとう、今日はいっぱいお世話になっちゃったね」 「なっちゃった?まだ終わってねーだろ」 浩が洗ったお皿を拭いていると、浩がそう言ってニヤリと笑う。 ぼくはその笑顔にドキッとして、顔が熱くなるのを感じた。 「思ったよりオトナの時間が来るの、早かったな」 ぼくの顎に触れる浩の大きな手。 ぼくよりも長くて骨ばった指が、ぼくの顔を上向きにさせる。 「んん……っ……!!」 浩の唇がぼくのそれと逢わさって、舌が口の中に入ろうとしてきた。 浩は、どんな気持ちでぼくにキスするんだろう。 その舌の動きに応えながら、ふと思った。 「お前、キス下手」 「な……っ……!!」 唇が離れてぼくはすごくドキドキさせられたのに、浩にこんな事を言われてしまう。 「……でも、オレ、そーゆー方がイイ。初々しくて可愛いじゃん」 そう言って、浩はぼくの髪を撫でながら、 「皿片付けるのなんて明日でもいいだろ。さっさとヤろうぜ」 って耳元で囁いてきたんだ。

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