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第55話

それから、浩は週に一度はぼくの家に来るようになった。 その日のうちに帰るけど、お互いのを触り合う……ようなコトは必ずしていたんだ。 園では来月に母の日に参観日をして、その時にお母さんに歌のプレゼントをする為に歌の練習が始まり、年少さんは母親がテーマになっている曲を歌う事になっていた。 それに加えて、連休前には園児たちが対象のコンサートがホールで開かれる事が決まり、ぼくは先生方とその両方の準備をする日々を過ごしていた。 「今回の園内コンサートは、はるか先生のお母様、黄嶋響華(きょうか)さんが来て下さる事になったよ」 職員会議で園長先生が言うと、はるか先生、はるき先生、はると先生の表情が曇る。 「……マジか……」 「うん、ホントの話だよ、黄嶋君。ようやくオファーに応えてくれたんだ、お母様」 それに対し、園長先生はニコニコしていた。 「世界で活躍されている彼女のピアノは是非とも子供たちに聞かせたい。それはわたしにとって長年の夢だった。君達もそれは承知してるよね?だからこの日は我慢して欲しい」 「……分かりました、子供たちに俺らの事情は関係ないですしね」 「そうだね」 「……」 はるか先生が笑顔を見せて、はるき先生とはると先生はそれに頷いたけど、3人の表情はいつもとは違っていた。

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