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第67話

「パパ、ひろせんせい、どうしたの?」 「うん、パパにもよくわかんない、ごめんね……」 公園の東屋を見つけて、ぼくはそこに悠太郎と座った。 「せんせい、おこってたね」 「そうだね……」 浩、一体どうしたんだろう。 あの女の子、元カノとかなのかな。 一方的に絡まれてるみたいだったけど、大丈夫かな。 そう思っていると、浩から電話がかかってくる。 「悪い、ヨースケ!めんどくせー奴に絡まれちまって。もう大丈夫だからどこにいるか教えてくれよ」 電話の声は、いつものトーンに戻っていた。 「あ、えっと……」 場所を教えると、浩はものすごい速さで来てくれた。 「悠太郎、ヨースケ、ホントごめん!びっくりしただろ?」 ぼくらに向かって深々と頭を下げる浩。 「ひろせんせい、おこってない?」 「あぁ、怒ってねーよ!お前もパパも何も悪くねーからな!お詫びにお昼食べたらあっちに売ってたアイスクリーム買ってやるからそれで許してくれねーか?」 「アイスクリーム?たべたい!」 「あぁ!じゃあパパのお弁当食べたら買いに行こうな!!」 浩はそう言って悠太郎の頭を撫でる。 「浩、あの……」 「お前にも悠太郎にも嫌な思いさせちまって悪かったな。後でちゃんと説明するから」 「……うん、分かった」 たまに見せる、真面目な顔。 悠太郎の事を考えてくれた、っていうのが伝わって、ぼくはすごく嬉しかったんだ。

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