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第86話
はるみくんとの事があってから悠太郎ははるみくんと仲良しになり、一緒に行動している姿をよく見かけるようになった。
たまにクラスの子と気持ちが上手く通じ合えなくて衝突する事もあって泣いてしまう事もあったけど、お互いに相手を守るような行動をとる事もあって、ぼくは成長を感じたんだ。
そして、迎えた父の日コンサート。
子供たちは母の日コンサートの後という事もあり、その時よりのびのびと、明るい笑顔で歌を歌えていた子がたくさん見られた。
悠太郎もはると先生の伴奏に合わせて一生懸命歌っていて、すごく嬉しかった。
コンサートが終わり園の仕事を終えた後、ぼくは悠太郎を連れ、はるか先生たちと一緒に杜さんが手配して下さったお迎えの車に乗って杜さんの別荘にお邪魔していた。
街の郊外にある、すぐ近くに海がある別荘地。
ぼくにとって、一生無縁だと思ってい
た場所だった。
「ゆうたろうくーん、みて!」
「わぁ!きれい!!」
悠太郎は春海くんと食事そっちのけで砂浜で砂遊びをしたり、流れ着いた貝を拾ったりして遊んでいた。
「ふたりとも、ご飯を食べてからまた遊ぼうよ」
「はーい、ももせんせい!ゆうたろうくん、いこ!!」
「うん!!」
ぼくが声をかけると、ふたりは笑顔で手を繋いでバーベキューのあるテントに向かって走っていく。
「パパ、みてー!ゆうたろうくんときれいなのみつけた!!」
「How beautiful!!綺麗な貝だね!!」
「明日南、前から思ってたんだけどさ、その中途半端な英語、どうにかなんねーの?」
「Sorry、春楓。あれから基本的に英語で話す事が多くて、日本語を話すとなるとずっとこの話し方だから無理だね」
「マジかよ、めちゃくちゃ違和感しかねーんだけど」
テントの中では、はるか先生たちがお酒を飲みながらバーベキューを楽しんでいた。
「明日南ってお酒弱いの?このお酒、水の割合が多い気がするんだけど」
「Yes、お酒は好きなんだけど、すぐ酔って眠くなっちゃうからあんまり高濃度のものは飲んでいないんだ。春希、もう少しalcohol足す?」
「うん、これだとお水飲んでるのと同じ感じがする」
そう話すはるき先生のグラスは空っぽになっていた。
先生方、相変わらずお酒強いなぁ。
「OK、他のみんなもそうした方がいいかな?」
「あっ、ぼくはこのままでいいです……」
杜さんが用意してくれたのは、イギリス製のジンだった。
先生方は水割りで飲まれているけど、ぼくはちょっと苦手な味だったから杜さんおすすめのジンジャーエール割りで飲ませて頂いていた。
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