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第93話

「……あいつらしばらく帰って来ねーかもな」 園庭には悠太郎とぼく、そして浩しかいなくなっていた。 「それって……」 「汗かいてんのに更に汗かいてシャワー入ってくんじゃね?」 「…………」 ニヤニヤしながら話す浩。 ぼくは前に見た、はるか先生とはるき先生の姿を思い出してドキドキしてしまう。 「今日はオヤジもノリノリだし、夏になるとそーゆー気分になりやすいのかもな」 「ひ……浩はいつもでしょ?じゃなかったら週1なんて……」 悠太郎がひとりで園庭を走っている間にぼくは浩にそんな事を言ってしまってた。 「あ?お前もそれに応えてんだから同じだろ」 「ち、違うよ!ぼくは別に……」 「違わねーから。お前、そんな可愛くねー事言って後でどうなるか知らねーぞ?」 浩の目がふたりの時のものに変わる。 ぼくが押し込めているもうひとりのぼくを呼び起こす目。 この目にぼくは惹かれ、逆らえない。 「あいつら来るのまだだろうけど、ヒマだから先に練習するか」 「う……うん……」 笑顔の浩に、ぼくはドキドキしたまま応えていた。

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