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第94話

「おし!準備運動このくらいしとけばいいだろ」 悠太郎も一緒に3人で準備運動をすると、浩が言った。 「まず軽く1周走るぞ」 「分かった」 軽く1周。 そう言われて一緒に走ったけど、浩とぼくとでは全然スピードが違った。 ぼくの軽くは、悠太郎よりも遅かったんだ。 「パパ、おっそーい!!」 「ホントだな。軽くって言ってももう少し速ぇだろ」 「そ……そうなの……?」 「春翔も春希も大して速くねーし、今年も春楓のクラスが勝つな、間違いなく」 「やっぱりはるか先生、速いんだね」 「サッカー部のエースストライカーだったらしいからな、春楓。で、高校の体育祭では絶対リレー出てアンカーやってたって言ってたな」 「そうなんだ……」 そんなに速いなら、誰も勝てない気がする。 「後は保護者が速かったらリード守って逃げ切るって方法もあるけど、春楓に勝つにはよっぽどぶっちぎってないと無理だと思う」 「それ、リレーする意味あるのかな……」 「年に1度の避けられない祭りだと思え。オレは走るの好きだから楽しみだけど」 「う…うん……」 ぼくは怪我なく完走を目指そう、って心から思ったんだ。

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