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第99話
お泊まり会の後、終業式を迎えて1学期が終わった。
園では終業式の午前中に身体測定をして、子供たちが入園からどのくらい成長したかをそれぞれの出席ノートに記入し、保護者にお知らせしていた。
悠太郎は入園時より2センチ伸びていたけど、早生まれな事もあってクラスでは小柄な方だった。
「片付ける前にオレらも測ろうぜ」
ぼくがホールに置いていた身長計を除菌スプレーをかけて布巾で拭いていると、浩が言い出す。
そこには、はるか先生、はるき先生、はると先生と悠太郎も一緒にいた。
「去年の健康診断の時より1ミリでも伸びてた奴は今日の晩メシ全員分奢りな」
はるか先生が言い出す。
「いいよ、面白そうだね。じゃあ僕から。春希、測ってくれる?」
「分かった」
そう言ってはると先生が身長計の前に立つ。
「187.3センチ」
「あ、1ミリ縮んでる」
「そんなん縮んだうちに入んねぇだろ」
浩がはると先生の言葉に突っ込む。
はると先生、はるき先生よりは低いけどそんなに身長あるんだ。
「春希は?確か去年まだ伸びてたよな」
「あぁ、もう嫌なんだけど」
「おい、春希、俺が伸びたくても伸びなかったのにそんな言い方しやがって、ふざけんな!」
はるか先生が少し怒った口調で話しているのをよそに、はるき先生はため息をつきながらはると先生に身長を測ってもらう。
「190ちょうどだね。変わってないんじゃない?」
「うん、変わってない」
はるき先生、やっぱり大きい。
それにがっしりされているから余計に大きく見える。
「春楓、次測る?」
「いや、俺は最後でいい。浩、お前測れよ」
はるか先生は、はるき先生に促されたけど断って浩に言う。
「オレも変わってねーと思うけど……」
はるき先生と交代した浩は、はるき先生に身長を測ってもらっていた。
「180.9」
「ゲッ、5ミリも伸びてた」
「おっしゃー!!今日は浩の奢り決定だな!!」
はるか先生がガッツポーズをする。
「春楓、お前とヨースケいるんだからまだ分かんねーぞ。ホラ、ヨースケ来いよ」
「あ……うん……」
浩、180センチあるんだ。
ぼくは去年の幼稚園の健康診断では確か170.2センチくらいだったはずだけど、きっと変わってないよね。
「お願いします」
はるき先生が浩に引き続き身長を測ってくれる。
「170ちょうど」
「2ミリ縮んでました」
「チビなんだから伸びてろよ」
「浩!俺よりデカいももにチビって言うんじゃねぇ!!」
ぼくが浩に頭を叩かれながら言われていると、はるか先生が突っ込む。
「お前ら、大して変わんねーじゃん」
「いや、ももの方がデカい。どうせ俺は縮んでるからメシはお前の奢りだな、浩!!」
勝ち誇ったように身長計に乗るはるか先生。
「167.5。春楓、去年より3ミリ伸びてるよ」
はるき先生が冷静に言った。
「あははは、一緒に奢りだな、春楓」
爆笑する浩。
「マジかよ!今年に限って何で……」
「春楓、背が伸びて嬉しくねーの?」
「あぁ?こんなミリ単位じゃなくて20センチくらいデカくなりてーわ!!」
浩にからかわれ、落胆しているはるか先生。
「ぼくも!ぼくもおおきくなってぱんだになりたい!」
そんな先生方に、身長を測っている間はその様子をじっと見ていた悠太郎が無邪気な笑顔で言った。
その後ぼくらは、はるか先生と浩の奢りで回転寿司でお寿司をご馳走になった。
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