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第100話
夏休み。
職員にとっての夏休みはお盆休みくらいで、園内の掃除や今後の行事に向けての準備、研修と普段とそんなに変わらない毎日だった。
そんな中、ぼくは浩と外部研修に行く事になってしまった。
「プロの先生の演奏を聴けて、更に教えて貰える貴重な研修だからね。君たちふたりがまだ受けてないから行ってきて欲しいんだ」
そう言って園長先生は内容が書かれた用紙を渡してくれたんだけど、ぼくは悠太郎の事があったから即答出来ずにいた。
「園長先生、あの……」
「悠太郎くんの事は心配しないで下さい。僕らで動物園に連れて行きますし
、終わったら春翔の家で待ってますから」
ぼくが悩んでいるのに気づいてくれたみたいで、横でパソコンを操作していたはるき先生が言う。
「あ……ありがとうございます……」
悠太郎とふたりになってから初めて、ほぼ1日離れ離れになる。
ぼくの方が寂しくて仕方なかった。
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