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第101話

「悠太郎」 その日の夜。 ぼくは悠太郎の事をベッドに入る前に抱き締めて話をした。 「パパ、今度お仕事で暗くなるまで帰れないんだ。悠太郎は、はるか先生、はるき先生、はると先生と動物園に行ってはると先生のお家でパパのお仕事が終わるまで待ってる事になったんだけど……」 「わーい!はるかせんせいたちとどうぶつえんにいけるんだ!!」 ぼくの気持ちに反して、悠太郎は寂しいという言葉もなく、先生方と動物園に行ける事を喜んでいた。 「パパがいなくても大丈夫?」 「うん!はるかせんせいもはるきせんせいもはるとせんせいもloveだからだいじょうぶ!!」 「ふふふっ、loveってはるみくんに教えてもらったの?」 「うん!だいすきってことばなんだって!」 笑顔で話す悠太郎。 ぼくがいなくて寂しい、って言って欲しかったのにな。 「パパ、ぼくひとりぼっちじゃないからだいじょうぶだよ!」 「悠太郎……」 その言葉を聞いた時、やっぱり妻は頻繁に悠太郎を置いて外出していたんだ、とぼくは思った。 許せない。 けど、それに気づかなかったぼくも同罪なんだ。 ぼくは可愛い息子の心に一生残るかもしれない傷をつけてしまったんだ。 「もう……もう絶対に悠太郎をひとりぼっちになんかしないよ。パパは悠太郎が嫌がってもずっと、悠太郎の傍にいるからね……」 ぼくは泣きながら悠太郎の頭を撫でていた。

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