109 / 151
第109話
浩とのセックスは、初めての時よりもずっと興奮して、気持ち良かった。
女の人を抱くより男に抱かれた方が気持ち良いなんて。
ぼくは。
ぼくはどうかしてる。
子供がいるのに、流されて、好きでもない人と身体を重ねて。
それで……同じ男なのに、その人の事を好きになりつつある。
ぼくの事なんか絶対好きになるはずがないのに。
そう思ったら悲しくなって、泣いてしまってた。
「悪い!痛かったよな?ホントゴメン……」
鼻を啜ったからか、浩がぼくが泣いている事に気づいてしまう。
「……うん、痛かった」
どうしよう、涙が止まらない。
こんな事で泣いて、バカじゃないか。
「…………」
そう思ってたら、浩が黙ってぼくの頭を撫でてくれた。
「オレの為に我慢してくれたんだよな、ヨースケ」
「そんな事ないよ。ぼくも興味あったから……」
ぼくも浩の頭を撫でる。
「浩、女の子とセックスするのとどっちが良かった?」
突きつけられたかった。
ぼくが、ぼくだけがおかしいんだって浩の口から言われたかった。
「……お前」
「えっ!?」
それなのに、思っていたのと全然違う答えが返ってきて、ぼくは拍子抜けしてしまう。
「男とも女ともヤッた事あるんだけどさ、お前の身体めっちゃイイよ。オレと相性合うんだろうな」
「そう……なんだ……」
浩はそう言って、ぼくの涙を指で拭いてくれた。
っていうか浩、どっちも経験してるなんて、やっぱりぼくより経験豊富だなぁ。
「てなワケで、またしような」
「う……うん……」
おでこにキスをされて、ぼくはまた流されてしまった。
ともだちにシェアしよう!