113 / 151
第113話
花火大会当日。
ぼくは悠太郎の支度を済ませた後、何とか浴衣を着て浩が迎えに来てくれるのを待っていた。
「お、ちゃんと着れたんじゃん」
「ひろせんせいもゆかたきてる!!」
金色のピアスを左耳にして、黒地に白の縞模様の入った浴衣を着た浩。
浩も以前はるき先生から着方を教えて頂いたらしく、自分でバシッと着られると豪語していた。
「悠太郎ももう少しお兄ちゃんになったら着ような、浴衣」
「うん!!ぼくはパパとおなじがいい!!」
浩に頭を撫でられている悠太郎。
その満面の笑顔はすごく可愛くて、思わずスマホで撮影してしまってた。
浩の車で駅まで移動し、駐車場に車を停めると、ぼくらは駅前の屋台で少し早めの夜ご飯になりそうなものを探す。
「何がいいかな……」
まだ少し明るい空。
たくさんの人が同じように道に並ぶ屋台を見ていた。
「パパ、ぼくやきそばたべたい!!」
「そっかぁ、じゃあ焼きそば食べようか。浩、それでもいい?」
「あぁ、構わねーよ」
「ありがとう」
悠太郎が食べたいと言った焼きそばとフランクフルト、ポテト、ぼくと浩が食べる為に焼き鳥を買い、食事が出来るようになっているテントの中でそれを食べる。
「ヨースケ」
「ん?」
ぼくは浩に、悠太郎が残したフランクフルトを食べているところを不意打ちで撮られていた。
「めっちゃイイ写真撮れたから後で送るな」
ニヤリと笑うその顔は、絶対何か企んでいそうに見える。
「ちょっ……絶対変な顔してたからそんなの送らないで!!」
「ま、楽しみにしてろって」
ぼくをからかう浩。
ホントのセフレになって何か変わるのかなって思ったけど、ぼくが浩に抱かれるっていう時間が増えただけで、何も変わらなかった。
それがいいのか悪いのかは分からないけど、ぼくは浩が変わらずぼくと親しくしてくれてる事が嬉しくて、ありがたかった。
ともだちにシェアしよう!