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第114話
「始まる前に寝ちまったかぁ……」
「結構歩いたりもしたから疲れちゃったんだろうね」
浩のイチオシの花火鑑賞スポットである高台の公園に着き、空いていたベンチに座ると、悠太郎は花火が始まる前に眠ってしまう。
「お、上がったな」
「わぁ、キレイ……」
海の上に空高く打ち上げられる花火。
子供の頃に見たきりだったから、その美しさにぼくは感動した。
「悠太郎にも見せたかったなぁ……」
スマホのカメラで撮影したけど、やっぱり目の前に広がる花火の方がキレイだった。
「ありがとう、浩。こんなに素敵な場所に連れてきてくれて」
悠太郎を抱きながら浩にお礼を言うと、浩は笑顔を見せてくれる。
「どーいたしまして。お代は身体で返してもらいまーす」
「えー、ちゃんと払えなくない?」
「いや、むしろお釣りめっちゃ出るから」
浩がからかっているのが分かったから、ぼくも負けじと応戦した。
「そんな事ばっかり言って……」
そしたら、浩がぼくにキスしてくる。
「お前の身体、オレと相性イイって言ってんじゃん」
耳元でボソッと言われて、ぼくはドキドキさせられた。
「帰ったら……いいよな?ヨースケ」
「う……うん……」
悠太郎を抱くぼくの手に、浩がその手を重ねてくる。
そのままふたりで花火を見た後、帰宅したぼくは浴衣のまま浩の求めに応じていた。
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