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第126話

9月。 みんなが頑張ってきた運動会の本番の日を迎えた。 天候に左右されないように市立体育館を借りてやる事になっていたけど、好天に恵まれた。 普段は私服の幼稚園も、運動会の時にはお揃いの黄緑色のTシャツと紺色の短パン、学年別で色の違う体育帽を被っていて、職員もお揃いの緑色のTシャツに紺色のジャージという服装で統一されていた。 あぁ、どうしよう。 ぼく、ものすごく緊張してる。 ほぼ毎日浩か杜さんと走る練習をしたけど、コーナーを曲がる時に転ばなくなったくらいで大して速くならなかったし。 「もも先生、一緒に写真いいですか?」 「えっ、あっ、はい……」 開会式の前、そんな事を考えながら年少さんの席の1番後ろにいると、クラスの子のお母さんから声をかけられる。 「オレが撮りますよ」 「ひろ先生!ありがとうございますっ!!」 お母さんが自撮りで撮ろうとすると、近くにいた浩がそう言って写真を撮ってくれた。 あれ?お子さん一緒じゃなかったけど、良かったのかな。 「もも先生、ありがとうございます!!リレー頑張ってくださいね!!」 「あっ、あはは、ありがとうございます……」 嬉しそうに居なくなるお母さん。 「お前も保護者に写真頼まれるようになったんだなぁ……」 「なっ、何その言い方!!」 浩がニヤニヤしながらぼくの頭をポンポンしてくる。 「親子揃って可愛い顔してる、って言われてるみたいだぜ?お前」 「そ…そんなの知らないよ……」 「……ま、本性知ったらビックリされるだろうな」 「もう、ここでそんな話しないで……」 ぼくが浩から離れようとすると、浩がぼくの腕を掴んできた。 「ちょっと……!!」 「……緊張、少し解れたか?リレーはなるようになるって」 「あ……」 浩が笑顔でまたぼくの頭をポンポンしながら話してくる。 「ありがとう、浩」 「お前、分かりやす過ぎ」 「や……っ、叩き過ぎじゃない?」 「悪い悪い」 優しいな、浩。 でも、叩かれ過ぎてちょっと痛かった。

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