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第135話

浩の事、ちゃんと知りたい。 そう思って覚悟も決めて、あとは、はるき先生にお話するだけだったんだけど、12月の全園児及び全職員が参加するクリスマスコンサートの練習が始まり、そのタイミングを逃していた。 クリスマスコンサートはコンサートホールを貸し切り、園児の保護者だけでなく一般の方も観覧出来る事になっていて、年少さんが2部合唱、年中さんが2部合唱と演奏、年長さんが3部合唱と演奏に挑戦し、年中長さんには演奏のための楽器のオーディションもあった。 そして、ぼくたち職員もクリスマスソングをひとりずつ演奏する事になっていて、ぼくはバッハの『G線上のアリア』を弾く事になり、会場は杜さんのご協力もあって夏にオンラインライブで使わせて頂いたホールに決まっていた。 それに加えて、ぼくには悠太郎のピアノ教室の発表会の練習もあったりして慌ただしい毎日だった。 「パパー、ぼく、はるかせんせいたちみたいにはるみくんといっしょにピアノひきたいよ!!」 悠太郎にとって初めての発表会。 クリスマス間近の開催という事で、悠太郎は『ジングルベル』を弾く事になっていた。 「そうだよね、一緒に弾けたら楽しいからね。もう少し上手になったら一緒に弾けると思うよ」 ぼくと連弾したいって言って欲しかったけど、仕方ない。 悠太郎にとってはるみくんがそれだけ大切なお友達になったんだと思うと、そんなお友達が出来て良かったって思うし。 「じゃあぼく、いっぱいれんしゅうしてじょうずになる!」 「うん、頑張ろうね」 はるみくんのお陰でピアノ教室に楽しく通い、練習熱心な事もあって、悠太郎は今回先生と連弾ではなく、簡単ではあるけどひとりで両手で弾く事になっていた。 はるみくんも同じみたいで、杜さんはそれをすごく喜んでいた。 『年少さんで両手で弾くのは僕たちの子供たちだけみたいです!何てfantasticなんだ!!』 教室には他の幼稚園からも生徒さんが来ていて、今は空き待ちになったと杜さんが話していた。 うちだけだったら申し訳ないって思ってたから、ぼくはその話を聞いてホッとしてたんだ。 『今日、キックボクシングの後に行く』 悠太郎の練習が終わってスマホを見ると、浩からメッセージが届いていた。 『分かった』 浩がキックボクシングの後に来るなんて初めての事だ。 明日が土曜日だから夜遅くなってもいいと思ったのかな。 ……うちに泊まったりするのかな。 ここに来てするコトは決まってるのに、泊まるのかもしれないって思うといつもよりもすごくドキドキしてしまう。

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