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閑話休題(えちが書きたかったので。-後半)***
それでも動かす手は止めない。いつも律が吉野にするように、今は吉野が律にしていく。緊張で手の動きがぎこちないので、萎えないか心配になってしまう。先端を手のひらで撫でると先走りが出てきて、少し安心する。
くち、と小さな水音が立つ。
せんせぇ、どんな夢を見てるの。
その夢の中には吉野はいるだろうか。いるとしたら、どんな痴態を晒しているのだろう。同じことをしてあげたい。
「んん……っ」
律が小さく喘いだ。びくり、と吉野の肩が震える。律が目を覚ましたら、なんて言い訳をするべきか考えていなかった。
ここまでやってしまったのだから、いっそ開き直るべきだろうか。
それならば、と吉野は口を開く。
「吉野くんっ?」
律自身を咥え込もうとしたところで、当の律が目を覚ました。吃驚しているのか、状況に追いつけないのか、絶句している。
「せんせぇ、おはようございます」
よく捕食性の動物のようだと言われる目だけで律を窺って、吉野は律自身の先端にキスを落とす。そのままゆっくりと唇を開いて、吞み込んでいく。歯を立てないようにするのが、意外と難しい。
「吉野くんっ……っ」
舌先をぎこちなく動かしてみる。こういうことははじめてやったので、決して上手いものではないはずなのだけれど、口の中の律が大きくなる。
「んんっ」
えずきそうになって、吉野は慌ててのど元まで吞み込んでいたものを引き抜いた。
「せんせぇ、大きくしないで」
「吉野くん、そんなの、どこで覚えたのっ」
吉野と律の言葉が重なる。
「……せんせぇ、気持ちよくないですか?」
不満げな顔色で、吉野は律を見上げる。律は手を伸ばして、吉野の髪をくしゃと撫でた。
「気持ちいいけど、吉野くんがそんなことする必要はないんだけど」
はぁ、と律は溜め息を吐くけれど、下半身が萎える気配はない。それなら何の問題もないじゃないか、と吉野は解釈した。
「じゃあ、やっていいですね」
「え」とか「う」とか律が言い淀んでいる間に、もう一度吉野は律自身を咥え込む。舌先で先端を舐めると、律が声を噛み殺した。
ぎこちないながら舌を動かしていると、律が吉野の髪を撫でてくれはじめた。くすぐったくて、気持ちがいい。
「は……っ、吉野くん、も、いいから」
しばらくして律から制止が入った。でも律はいつも吉野が「もういい」と言っても止めないじゃないか、と思ったので吉野はそれを無視する。じゅぷ、と水音を立てて、口の中に入るところまで入れてしまう。
「吉野くんっっ」
律が慌てたけれど、知ったことか。余裕のない律が見れるのも、気分がいい。ちゅぅ、と少し強めに吸うと、吉野の口内に温かなものが吐き出された。
「──っ」
ああ、射精したのか、と吉野は遅れて理解した。律がばつの悪そうな顔をしている。
「吉野くん、吐いて。出しちゃって」
その言葉を後目に、吉野はにんまりと唇を横に引く。それから律を見上げて、ごくん、とのどを鳴らした。決して美味しいとは思えなかったけれど、律のだと思うと飲み込めた。
「ごちそうさま」
ちゃんと飲みました、のしるしに、べ、と吉野は律に舌を見せつける。
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