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前編 真っ直ぐな想い/2

「ねぇねぇ、来週末の土曜日覚えてくれてる? ちゃんと空けといてよ?」 「…ん~、土曜? さて、何の日だったか」 いつものように度の低い縁無し眼鏡をかけ経済新聞を開きながら、俺は隼人の作ったスクランブルエッグをフォークですくう。 「もぉ、 意地悪言わないでよぉ。 俺の誕生日でしょ! 昨日さぁ、クラスの奴が面白い映画見てきたって教えてくれたんだ。それ行かない? 洋画なんだけど、アクションもので…」 「行かない」 「もぉっ! 俊也さんの意地悪っ!」 俺は食べ終わった食器を早々に片付けると、さっさと支度をして家を出てやった。 俺を追いかけ、隼人も慌てて家を出てくる。 「ねぇっ! 映画が嫌ならプラン変えるからさぁ、来週末は絶対空けといてね!」 絶対だよーっ、と大声で叫び手を振る隼人を振り返りもせず、俺は駅の改札を通った。

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